実機初お披露目のメディア向け発表会も実施

Dreame、最大6cmの段差を自動で乗り越えるロボット掃除機「X50 Ultra」。より低いスペースの清掃も可能に

編集部:伴 修二郎

Dreame「X50 Ultra」

ドリーミーテクノロジージャパンは、最大6cmの段差を自動で乗り越えて移動できるロボット掃除機「X50 Ultra」を、本日3月7日(金)より各ECサイトで予約販売を開始。4月中旬頃より製品出荷を開始する。価格はオープンだが、税込229,800円前後での実売が予想される。本発表に際して、実機お披露目と実演デモを行うメディア向け発表会が「b8ta Tokyo – Yurakucho」で開催されたので製品の詳細と共に合わせてお届けしたい。

「X50 Ultra」は、今年1月にアメリカ・ラスベガスで開催された世界最大のテクノロジー見本市「CES 2025」にて発表された新製品で、業界初とする最大6cmの段差を越えて移動することができるロボット掃除機。段差対応に加えて、マッピングや障害回避、AIによる汚れや音声の認識、吸引力、洗浄力など「各種性能も最高水準」とアピールしている。

ロボット掃除機の本体

大きな特長として、主に電気自動車などに用いられるハブモーターを業界初採用し、耐久性にも優れる伸縮式のダブルレッグ(脚)を本体下部に内蔵。このレッグが本体を持ち上げることで、ドアの敷居や段差などの小さな障害を乗り越えて移動できる「ProLeapシステム」を用いている。

最大6cmの段差を越えて移動できる

従来の対応可能段差は約2cmまでが一般的であったが、X50 Ultraでは最大で4.2cm+1.8cmの計6cmの二重段差を自動で乗り越えることが可能。なお、通常の1段の段差では最大4.2cmまで対応する。これにより、日本家屋でみられる畳の和室と洋室との境目にある段差や、パイプ椅子のパイプ部分などで掃除機が途中で動かなくなる可能性を防ぎ、より効率的な掃除を実現すると謳う。

ハブモーターを採用した伸縮式のダブルレッグ

この最大6cmの段差対応を実現するため、開発時におよそ100種類以上の登り方のテストを実施。そしていきついたのが、まるで「人間の手足」のようなロボット型の設計であったと、Dreame Technology Japan(株)セールスディレクターの濵田 明克氏は語る。

「人間の手足に近づけるため、電気自動車に入っているハブモーターを採用した。高速に回した時の耐久性やコンパクトな本体にどう内蔵するかという課題があったが、デジタルモーターの小型化や様々なアルゴリズムのセンサーの情報を統合して各種仕様を作り変えることで実現した」と述べた。

また、登ることの次に重要なのが段差から降りる動作であったとして、高い段差から降りた際の衝撃に耐えうる、従来モデル以上の高い耐久性が必要だったと指摘。X50 Ultraでは約3万回におよぶ耐久テスト行いクリアした新設計を採用したことで、結果本体の耐久性は従来モデルから倍以上に向上したとアピールする。

Dreame Technology Japan(株)セールスディレクター 濵田 明克氏

さらに、開けた場所では本体上面に内蔵するレーザーセンサーが360°スキャンを行い、暗い室内や通りにくい場所を迅速かつ正確に認識して優れた障害物回避を実現する「VersaLiftTMナビゲーション」を採用している。

家具下などの狭い空間の清掃の際にはセンサーが自動で格納されるようになり、加えて先進的なAIカメラやスマートアルゴリズムの活用により、最低89.5mmの低い場所の清掃も可能に。これにより、これまで高さの問題で掃除が難しかったベッドやソファなど狭くて低い家具下の自動清掃も可能になっている。

センサーが格納されたようす

X50 Ultraの開発経緯について濵田氏は、まずX50 Ultraが「 “高い段差の対応” と “低いスペースの清掃” という2点の課題解決を目指した末に実現した製品」であるとしながら、ロボット掃除機の誕生から現在の現行モデルは、 “第3世代機目” にあたる製品群だと定義する。

「第1世代機は自動で掃除するのみ、第2世代機は水拭きや自動収集機能の追加、そして今の第3世代機は独立の充電ステーションが洗剤の自動注入やモップの洗浄機能などの進化を遂げ、ユーザーの時間を増やすことを実現した。今回のX50 Ultraはその次の “第4世代機目” にあたる製品として、より人間の体に近づいた構造によって、今までのロボット掃除機では叶わなかった課題解決に対して取り組んで開発した」と力を込めた。

障害物回避の面では、業界平均0.5秒とする障害物回避応答速度を0.1秒に短縮する業界初の60GHzミリ波レーダーを搭載する。これにより、カーテンや薄い毛布などの柔らかい障害物を手際よく回避し、3秒前に動的な障害物軌道(ペットの移動経路など)を予測して回避することが可能になったとのこと。検出距離は8mまでで、解像度は0.5°。

業界初の60GHzミリ波レーダーを搭載

ブラシについては、床の隙間からほこりを効率的に取り除く床用のブラシ付きゴムブラシ(床用)と、カーペットから大きな粒子や髪の毛、ほこりを取り除くカーペット用のTPUゴムブラシの組み合わせを採用した。加えて、革新的と謳うダクト設計を施したことで、髪の毛の絡まりを防ぎながら床やカーペットの汚れ、埃を効率的にキャッチできると説明する。

2種類のブラシを搭載

また、伸縮式サイドブラシと回転式モップを搭載した「デュアルフレックスアーム」を搭載。自由自在に動くアームにより部屋の隅や角、家具下の汚れや埃を徹底的に除去することができるとした。

モーターは、最大回転速度を90,000回転/分にまで向上させ、前モデルを大幅に上回る最大20,000Paの吸引力を実現する特殊設計「VormaxTM吸引」を採用する。加えて空気力学に基づいた設計により、騒音レベルも前モデルから約10%低減できたという。

ベースステーションは、熱風モップ乾燥、モップの80度温水自動洗浄、底部のモップウォッシュボードの自動洗浄、ゴミの自動収集、洗剤の自動投入、水拭きへの給水などを全自動で行う6way仕様となっている。また、底部のモップウォッシュボードの節水性と洗浄性能が向上したことで、従来よりも清潔な状態を保てるとする。さらにダストバッグ開口部内のUVライトによって除菌も行う。

6way仕様の全自動ベースステーション

AI性能も従来から進化しており、前モデルと比較して、AIが汚れを識別する能力が向上したとのこと。乾いた汚れや湿った汚れ、大きな粒子の汚れなどをそれぞれ区別して、清掃方法を自動的に調整するとしている。

また、カーペットの毛足の長さや質感に応じて吸引力を高めたりモップがけを停止したりと、カーペットの種類に応じて清掃方法を自動的に調整する「スマートカーペットクリーニング」 もサポートする。

スマートなカーペット清掃も実現

専用アプリと連携することで、様々な掃除方法のカスタマイズが可能。カーペット掃除においてはモップの取り外し、モップの持ち上げ&吸引力強化、カーペット回避、二度がけを行う集中的なカーペットクリーニングといった、ユーザーが希望するカーペット清掃方法をアプリで設定することができる。

そのほか、ペット用のお皿やトイレなどペットの周囲にある物体を自動で識別し、専用アプリを通じて回避するか近くを掃除するかを選択することが可能。ロボット掃除機がペットを探して写真を撮る機能や、ビデオ通話でペットと音声対話できる機能など見守り機能も備えている。

LEDライトも内蔵

ロボット掃除機本体の外形寸法は、直径350×高さ89/111(センサー格納時/リフト時)mm、質量は約4.53kg。バッテリー容量は6,400mAhとなる。ベースステーションの外形寸法は457×590×340mm、質量は約9.09kg。

最後に濵田氏は、現在ロボット掃除機市場が横ばいとなっている日本国内での今後の展開について、「共働き世帯や高齢・介護世帯、ペット世帯などの増加により、日本でのロボット掃除機の潜在的需要は高まっている。住環境に対しての意識はどの年齢に関わらず大切な部分になるので、そこを自動化できることによる利便性を広めていきたい」と強調した。

現在開発中だとする、人間の腕を再現したアームで物を掴んで動かせるロボット掃除機も紹介

また、今後BtoB販売についても力を入れていきたいとのことで、「深夜ビルのメンテナンスや劇場の清掃など、いくつか引き合いをもらってテストしている段階。これまでEC販売が中心だったが、今後より実際に実物を見てもらえる環境を作るなど、オフラインの展開も行っていきたい」と締めくくった。

あわせて、b8ta Tokyo – Yurakuchoでは3月31日(月)までの期間、X50 Ultraをはじめ折りたたみ式の超軽量速乾ヘアドライヤー「Dreame Pocket Pro」や、日本における初の店舗販売となるコードレススティック掃除機「Z10 Station」、水拭き掃除機「H12 Pro FlexReach」などの各種製品を展示・出品している。

同社の高速モーター技術を活用した超軽量速乾ヘアドライヤー「Dreame Pocket Pro」なども

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