調査を始めるための提案をするそうです
FCC、不測の事態に備えGPS依存を軽減する代替システムの必要性を訴える

米連邦委通信委員会(FCC)委員長のブレンダン・カー氏は、同機関のブログ記事のなかでGPSが「なくてはならないもの」だが「完全に確実なものではない」と述べ、もしもGPSが機能しなくなったときに「国の経済と国家安全保証を損なう可能性がある」と主張、「冗長となる技術を開発する必要がある」と述べた。
これはFCCが3月に開催する公開会議の議題に関する発言だ。現在、GPSは緊急対応から軍事作戦、簡単な自動車の運転ルート案内まで、現代生活の多くの側面に浸透している。だが、もしこのシステムが何らかの事由によって機能しなくなることがあれば、上に述べたような重大な問題にまで発展しかねないとのことだ。
そのため今後の会議でこの問題を議題として取り上げ、「GPS の補完または代替」になる新たな「測位、ナビゲーション、タイミング(PNT)システムを検討するための予備調査を行う」ことに投票するとした。
カー氏は、GPSに関連する問題として緊急通報技術に関する2つの提案も行う予定だと述べている。1つは、インターネットを利用した次世代911システム(NG911)の機能を強化すること。これは現在のシステムが特に何事もない日に時折ダウンしたこれまでの経験を踏まえて、システムの回復力、信頼性、相互運用性、およびアクセシビリティを確保するため、既存のルールを更新する提案をするという。
さらに、緊急対応員がより多くの実用的な情報を入手できるように、911システムにおける位置精度規則を強化する提案も行うとした。位置精度に関しては、通報者の居場所を知る際に、電話会社から住所や居住する階、部屋番号などの情報が提供されない問題を解消することを意図したものだ。特に、地図上の位置は特定できても建物の何階からの通報かを特定するのに手間取ることが多いため、通報の際に電話会社にその情報を提供させるようにしたいとしている。
GPSは、IT機器の進歩により、いまや様々な分野で活用されている。誰もが思いつくのはナビゲーション用途だが、それだけでなく漁業や農業、林業といった一次産業、船舶・航空機などの交通手段、屋外競技や登山といったレクリエーション、野生動物に発信器を取り付けて生態を調査するなどの学術的使用、出所・仮釈放者の追跡などさまざまだ。
またGPSは米国が提供しているものだが、米国以外でもGLONASS(ロシア)、 BeiDou(中国)、Galileo(欧州)、準天頂衛星システム みちびき(日本)、NAVIC(インド)などが運用されている。スマートフォンなどの機器は、複数の測位システムに対応していることが多い。