SEユーザーはSE並みの低価格しか求めず?
iPhone 16eはアップルにとって高リスク?SEユーザーの乗り換えは疑わしいとの調査結果

アップルが先月発売した「iPhone 16e」は優れたデバイスではあるが、多くの人々が期待していた「iPhone SE 4」の製品像とはズレがある。実際、これまでのiPhone SEユーザーがiPhone 16eに乗り換えるかどうか疑わしいとのレポートが公表されている。
市場調査会社CIRPは、「誰がiPhone 16eを購入するつもりか?おそらくiPhone SE所有者ではない」と題した調査結果を発表している。iPhone SEのユーザーベースにつき、他のiPhoneユーザーベースと比べて購入習慣がどうなのかを分析したものだ。具体的には「iPhone所有者が最後に使っていたスマホは何だったのか?」のアンケートを取っている。
全体的に見ると、iPhone SE購入者はより高価なモデルに買い替えるのではなく、低価格で最小限の性能を持つスマホを選んでいるようだ。
最も興味深いのは、SE購入者の26%が前にも別のSEを持っていたという事実だ。「これらのiPhone SE所有者がスマホを買い替える時期が来たとき、最新のiPhone SEモデル以上のアップグレードは必要ないと考えた」「実際、他のすべてのiPhoneの購入者のうち、iPhone SEからのアップグレードはわずか3%だった」とのことだ。
また、iPhone SE購入者のうち最も比率が高い45%は、以前に「ナンバー」(フラッグシップ)モデルのiPhoneを使っており、事実上ダウングレードしたことになる。
つまりSEユーザーは、次もSEないしSE並みの低価格Android端末に乗り換える傾向が強く、フラッグシップiPhoneユーザーも最新の後継機に価値を認めていない人々が一定数いる、ということだ。
今回のレポートは概して、iPhone SEのユーザーベースにとって価格がどれほど重要かを実証している。さらにはiPhone 16eの599ドル(日本では9万9800円)~という価格が、iPhoneユーザーを他社製品に向かわせる可能性があると示唆するものだ。
CIRPによれば、iPhone SEの売上はiPhone全体の5~10%を占めていたという。もしも「iPhone SE 4」が発売されていれば、同じように売れていただろう。だがiPhone 16eの高価格は、価格に敏感なiPhone SEユーザーを逃しかねない。
さらにCIRPは、iPhone 16eが「最新または最近の型落ちiPhoneの売上を共食い」する可能性も指摘している。
「iPhone SE4」は高性能かつ手ごろな価格を強みとして、新興国の市場に切り込むと予想されていた。が、フタを開ければミドルレンジとさえ言い難く、アップルが格安スマホ市場を放棄した印象がある。こうしたリスクの高い賭けが、iPhone市場にどのような影響を与えるのか見守りたいところだ。