2月22日に着陸したIntuitive Machinesの着陸機に続く民間2番目の着陸成功

米Firefly Aerospace、Blue Ghost着陸機を無事月面に降り立たせることに成功

Image:FireFly Aerospace

米国の民間宇宙企業Firefly Aerospaceは、Blue Ghost着陸機の初の月面着陸の試みに成功した。着陸に成功したBlue Ghostは、月面の「危難の海」と呼ばれる地帯にきちんと自立しており、月面に長く伸びる自らの影と、月の地平線のはるか遠くにみえる地球を収めた1枚の写真を地上の管制チームに送信してきた。

Fireflyはプレスリリースで「月面着陸に成功した初の民間企業に」なったと宣言した。ただ、正確には2024年2月にIntuitive MachinesのOdysseus着陸機が月面に着陸している。とはいえ、Odysseus着陸の際に転倒してしまっており、FireFlyは今回、自らが「史上初めて月面への軟着陸を完全に成功させた民間企業」だとリリース本文中で表現した。

FireflyのCEO、ジェイソン・キム氏は、NASAと合同の配信のなかで自分とチームが何年もかけてこのミッションに取り組み、ひとつの目標を実現したことを非常に喜んでいるとし「チームはずっと落ち着き、冷静だった。着陸した時も、すべての物事が正しく進んでいた」と述べた。

Blue Ghost着陸機は、SpaceXのFalcion 9 ロケットに、日本のispaceのResilience着陸船と相乗りする格好で、2025年1月15日に打ち上げられた。ロケットとの分離後、Blue Ghostは2025年2月13日に月周回軌道に到着、24日に3回目にして最後のマニューバを行って月への着陸態勢に入った。

Blue Ghostの最終着陸シーケンスは、途中で明らかな異常が発生することなく、1時間強の時間をかけて最終的に無事に完了した。「Ghost Riders in the Sky」と名付けられたこのミッションの降下の最後の瞬間は、管制室は静寂そのものだった。

Blue Ghostは、NASAの商業ペイロード サービス(CLPS)プログラムのために民間企業グループが開発した一連の着陸機のひとつだ。着陸機本体には、10台ものNASAの科学機器が搭載されており、着陸時に巻き上げられた塵の採取・分析や、地下3m付近までの熱環境、地球の磁場の影響など、月の地表で様々な項目を調査する予定になっている。

NASA科学ミッション局のニッキー・フォックス副局長は、Blue Ghostが予定通りの位置に着地したことを称え、今後もCLPS関連の着陸機が月の南極や、地球から見て裏側の地帯にも向かうと述べている。

着陸機は今後、地球の約14日間分の時間がある月の昼間のあいだ月面で活動し続け、日が暮れる3月16日にミッションを終了する予定だ。また、Firefly Aerospaceは、2026年にもCLPSミッションの一部となる2機目のBlue Ghostを打ち上げることを計画している。この打上げには同社の軌道周回機Elytraも含まれる。

ちなみに、今回のBlue Ghost着陸機とともに月へ向かったispaceのResilience着陸機は、2月15日に月フライバイを完了させたのち、現在は地球から最大110万kmの深宇宙を巡る低エネルギー遷移軌道を航行中。そしていまから数か月後に、月面に着陸する予定とのことだ。

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