映画に出てくる未来のコンピューター操作ってこんな感じ
LiDARで手指の動きを読み取るジェスチャーリモコン「CenWatch」クラファン中

家電機器は長い年月のあいだに大きな進化を遂げてきたが、この数十年ほとんど姿形が変わっていないのが、それらを操作するためのリモコンだ。リモコンの多くは細長いプラスチック箱の上面に、ただ整然とボタンが並んだだけのものが多い。
一部のスマート機能付きテレビのリモコンなどは、うっかり押してしまいがちなところにマイナーな動画ストリーミングサービスの専用ボタンが配置されており、非加入ユーザーからすれば何度削除しても、いつの間にかゾンビのように再生アプリが再インストールされ復活する無限ループに陥れられる。
最近、Kickstarterでクラウドファンディングを開始した「CenWatch」は、手首に装着するだけで手のひらや指の動きをLiDARでスキャンし、簡単な手振りで複数のコマンドを実行する新しい腕時計型リモコンデバイスだ。
製品と同じ名前を持つスタートアップ企業CenWatchは、香港を拠点としており、今月Kickstarterで製品化に向けた出資募集キャンペーンを開始した。

このデバイスには368x448pxのAMOLED画面が搭載されており、時間と日付、充電残量といった基本的な情報を表示する。また、手首の裏側に配置されるLiDARは、赤外線レーザーで5本の指すべての3次元的な位置(手首に対する相対位置)を1mm精度で計測、さまざまな定義済みのコマンドを実行できるとのことだ。
さらに、内蔵するIMU(慣性計測ユニット)からの情報により、ユーザーの胴体と手首の3次元的な位置関係も計測し、いろいろなコマンドを実行できる。
たとえば、CenWatchを装着したユーザーが腕を体の前で90度の角度に上げれば、この腕時計型デバイスが起動し、LiDARとIMUをリアルタイムで参照・処理することが可能になる。
リモコンとしてのコマンドはBluetooth経由でペアリングされたスマートフォンやPCデバイスに送信される。そして、IFTTT(If This Then That)で中継すれば、その他のスマートデバイスにもコマンドを送ることが可能だ。
ほかにも、CenWatchはタップ、クリック、スワイプ、スクロール、さらには仮想キーボードでの入力など、PCに対応した操作も実行できる。

CenWatchの開発者たちは、このデバイスはARやVRヘッドセットと組み合わせて、たとえばプレゼン資料を作る時に、空中でのハンドジェスチャーでヘッドセット内に浮かぶPowerpointファイルなどに文字を書き込んだりするのに特に適すると述べている。たしかに、現実世界の視界を遮られるVRヘッドセットなどは、専用のデバイスを手に持つより、手先のジェスチャーだけで操作できたら便利そうだ。
制御用ハードウェアをヘッドセットから腕時計デバイスに移動できれば、AR/VRヘッドセットもいずれ普通のメガネとそれほど変わらないサイズに小型化されていくだろう。
CenWatchの装置全体の重量は92gで、1700mAhのリチウムイオン電池により最大10時間の動作が可能とのこと。Bluetooth接続での通信距離は最大60m。
3月15日まで実施中のKickstarterキャンペーンでは、CenWatchをリワードとして受け取れる権利付きの出資枠が299ドルから用意されている。また、製品化された場合の予定価格は499ドルとなっている。
このようなデバイスのクラウドファンディングサービスではリワードを受け取る前にプロジェクトが消滅してしまうリスクもゼロではない。それでもプロジェクトを支援したい、どうしてもデバイスを試したいと思うならば出資を見当してみても良いかもしれない。
- Source: CenWatch(Kickstarter)