傘下のゲームスタジオに使用を強制しないとのこと
マイクロソフト、ゲームプレイを生成できるAIモデル「Muse」発表。レトロゲームの復刻にも活用か

マイクロソフトは、ゲーム用の新技術「Muse」を発表した。ゲームのビジュアルやプレイヤーのコントローラー操作に基づき、ゲームプレイを生成できる初の生成AIモデルである。
このモデルは3Dゲームの世界やゲーム内の物理法則を理解し、プレイヤーのインタラクションに反応する能力を持つという。つまり、リアルタイムに人間の操作を受け付けて、その場で実在しないゲームのプレイを成立させられるということだ。
Muse AIモデルは、英国に拠点を置く研究部門Microsoft Researchとゲーム開発スタジオNinja Theoryとの協力のもと、Xboxゲーム『Bleeding Edge』の7年間分のゲームプレイデータ、合計10億もの画像アクションペア(キャプチャされたゲーム画面とコントローラー入力の組み合わせ)に基づき訓練されたという。
このコラボを通じて、Microsoft Researchは「ゲームスタジオと緊密に協力し、どのような準備が必要か、膨大なゲームプレイデータへのアクセスをどのように責任を持って解き放つかを理解できた」と述べている。
これらの成果は学術雑誌Natureにも掲載されたが、まだ初期段階に過ぎず、生成できるのは解像度300×180のゲームプレイに限定されている。以前マイクロソフトが開発した生成AIによる128×128よりも向上しているが、PCゲームで一般的な1080p(1920×1080)には遠く及んでいない、
マイクロソフトは現在、Museが古典ゲームの改善に役立ち、それを最新のハードウェアに移植する可能性も検討しているとのこと。Xbox部門トップのフィル・スペンサー氏は「ゲームプレイデータやビデオから、モデルが古いゲームを学習し、あらゆるプラットフォームに移植できる世界を想像して頂きたい」と語っている。
また同社は、Museがゲーム開発者にとってプロトタイプの作成に役立ち、既存タイトルにAIによる新たな体験を追加できる可能性も模索しているという。まもなく、短めのインタラクティブなAIゲーム体験がCopilot Labsで提供される予定だ。
XboxのプレイヤーやクリエイターにAIツールや実験結果を「早期に」共有し、「弊社のAIイノベーションが現実の問題に対処し、Xboxゲームの開発やプレイに新たな新たな価値をもたらすと確認する」テストも予定しているとのことだ。
マイクロソフトは多くのゲームスタジオを傘下に置いているが、ゲームでAIをどう使うかは各スタジオに委ねているという。「全てのゲームやプロジェクトに単一のソリューションがあるわけではなく、各チームのクリエイティブなビジョンや目標に基づいて行われる」と述べている。
もっかゲーム開発者らは、AIがゲーム開発プロセスにどのような影響を与えるか、多くの懸念を寄せている。特にゲーム業界では大量解雇が毎週のように行われ、2024年だけでもゲーム開発者の10人に1人が職を失っている状況下では、当然のことだろう。
Ninja Theoryのスタジオ責任者は、「この技術をコンテンツの作成に使うつもりはない」という。あくまで関心があるのは「いかに才能あるチームがゲーム開発をより迅速かつ容易に行えるか。そして、ゲームの真髄である人間の創造性に本当に集中できるか」とのことだ。
- Source: Microsoft(YouTube)
- via: The Verge