イーロンは「真実」を強調

xAI、最新AI「Grok 3」発表。高度な問題を推論する「Big Brain」モード搭載

Image:JRdes/Shutterstock.com

実業家のイーロン・マスク氏が設立した人工知能企業xAIは、最新のAIモデル「Grok 3」シリーズを発表した。

マスク氏によれば、前モデルよりも計算能力が10倍に向上しており、数学、科学、コーディングのテストでOpenAIのo3やDeepSeekのV3を上回る性能を示したとのこと。また「高度な推論」機能を備えているとも述べている。

ここでいう推論モデルは、一般的にはタスクをより小さなタスクに分割し、それぞれ専門のモデルや関数に割り当てることで、問題解決能力を向上させるものだ。OpenAIのo3、DeepSeekのR1、GoogleのGemini Flash Thinkingなど、すでに競合企業によりサービス提供中である。

Grok 3の推論モードには2つあり、まず「Think」は複雑な課題に対してチェーン・オブ・ソート(段階的推論)行うもの。もう1つの「Big Brain」は追加の計算リソースを使用し、より高度な問題に対応するという。

さらにGrok 3には、高度な検索エンジン「DeepSearch」も搭載。この機能はユーザーの質問に対してウェブやXから情報を収集し、詳細な要約やレポートを提供する。上記のThinkやBig Brainとは補完的な関係にあり、外部情報の詳細な調査と高度な内部推論を組み合わせることで、より質の高い回答や分析を得られる見通しだ。

また、軽量版モデル「Grok 3 mini」も用意されている。基本モデルのGrok 3ほど精度は高くないが、迅速にレスポンスが求められる場面に向いているようだ。

マスク氏は、Grok 3が「最大限に真実を追求するAI」だと主張している。 以前のバージョンでは、選挙の誤報を広めたり、著名人の不適切な描写や著作権を侵害する可能性ある画像を生成し、批判を集めていた

これらGrok 3の機能は、当初はXの有料プラン「Premium+」の加入者のみ提供される。同プランは日本では月額2590円、年額は2万7300円。昨年末、それぞれ1960円/2万560円から値上げされている。ちなみに米国では月額40ドルであり、日本は安く抑えられている。

xAIはGrok 3に加えて、Grokアプリに「音声モード」を1週間以内に追加し、ユーザーとの会話に合成音声を使うことも明らかにした。旧モデルのGrok 2は、今後数か月のうちにオープンソース化される予定とのことだ。

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