3人で「黒い三連星」ごっこもできる
丘も登れる自走式スキー板「Vipera」。3時間の充電で約16km走行可能

雪深い冬の野山を移動するための手段としてはスノーモービルがあるが、その意外と大きな図体や騒音と排気ガスをまき散らして走ることにあまり良い印象を持たない人も多いかもしれない。
ボストンを拠点とするベンチャー企業Frigid Dynamicsは、バーモント州へのスキー旅行でスキーリフトの長い行列にうんざりした経験から、スキー板に動力を取り付けた自走式スキーを開発している。
現在はまだプロトタイプの「Vipera」は、ショートスキーの後端から、スノーモービルのようなトラックベルトが伸びた格好をしている。ベルト部分にはサスペンション機構があり、地形や雪の積もり具合による路面変化に常にベルト部分が接するようになっている。ベルトを駆動するモーターは、スキー前端部に装着したバッテリーからの電力供給により、25Nmのトルクを発揮する。
Viperaを装着したスキーヤーは、平坦であったり緩い上り坂になった道でも、最大時速20マイル(約32km/h)で走行することが可能だと、Frigidは説明している。操作はストックに取り付けたワイヤレスリモコンを通じて行い、加減速、走行モード切替、電池残量の確認が行える。
Viperaに搭載されるバッテリーは3時間の充電で約10マイル(約16km)走行できる。交換することもできるため、予備を持っておけば万一途中で電池切れになっても、走行を継続できる。
なお、駆動装置とバッテリーはスキー板から取り外すことが可能なため、平坦な道を走行したり丘を上るときだけViperaを使い、上から長距離を下るときにはそれらを取り外して、高速で滑り降りることが可能だ。駆動装置やバッテリーの合計重量は約10kgほどになるのでリュックは大きめの物を携行する方が良いかもしれない。
Viperaはまだプロトタイプだが、米国、カナダ、欧州では9月の出荷開始を予定している。価格は2,999ドルだ。
ちなみに、Viperaとよく似た動力付きスキー板としてスイスのベンチャー企業E-Outdoorが今年1月のCES出発表した「E-Skimo」という商品がある。だが、こちらは既存のスキー板メーカーに供給販売する計画で、一般販売は行われていない。
- Source: Frigid Dynamics
- via: New Atlas