DeepSeekとも交渉したとのこと

アップル、中国でのApple Intelligence提供のためアリババと協力か

Image:Ascannio/Shutterstock.com

アップルが中国アリババ(Alibaba Group)と提携し、現地でのiPhone等に独自AI「Apple Intelligence」を導入するとニュースメディアThe Informationが報じている。

この契約は同社がAIスタートアップDeepSeekや、TikTokの親会社バイトダンスと提携の可能性を探ったものの、最終的に拒否された後に締結されたとのことだ。

中国政府は生成AIサービスに関して厳格な規制を設けており、外国企業が独自のAIモデルを持ち込むことは困難だ。そのため現地企業との提携が必須となるが、昨年末にはテンセントとバイトダンスとの協議は初期段階に過ぎず、バイドゥとは協力を進めながらもプライバシー保護などで対立しているとの報道もあった

今回の報道で興味深いのは、業界標準を遥かに下回るトレーニング費用(と主張)でOpenAIと同等の性能を持つAIモデルを実現したDeepSeekの名前が挙がっていることだ。

同社が注目を集めたことでAI関連株価は急落していたが、アップル株はなぜか上昇していた。ひとつはアップルがAI投資を控えめにしていた企業であること、もう一つは効率的なDeepSeekの技術によりアップルが容易かつ低コストでApple Intelligenceを改良できるとの期待が高まったためだ。

これまで実際に両社が協議したとの報道はなかったが、アップルも一応はDeepSeekにコンタクトは取ったのかもしれない。

中国はアップルにとって重要な市場だが、いまだに現地でのApple Intelligence提供は始まっていない。ティム・クックCEOは、中国でiPhone売上高が前年同期比で11%減少した原因につき、Apple Intelligenceの欠如を挙げていた。ファーウェイなどの中国スマホメーカーは、その空白を埋めるように売上を伸ばしている。

アップルは今週中にも廉価モデル「iPhone SE 4」を発表するとみられている。iPhone 16標準モデルと同じA18プロセッサーを搭載し、Apple Intelligence対応が有力視されているが、中国市場で巻き返しを図るためにも必須なのだろう。

関連キーワード: