予算規模は約219億ドル
Oculus VR創業者の防衛技術ベンチャー、マイクロソフトの軍用Hololens開発プロジェクトを承継

VRヘッドセットのOculus Riftを開発し、Oculus VRを創業した人物として知られ、現在は防衛技術ベンチャーのAndurilを率いているパーマー・ラッキー氏が、自身のブログで米陸軍の統合視覚拡張システム(IVAS)開発プロジェクトをマイクロソフトから承継することを明らかにした。
IVASは、2018年にMixed Reality(MR)ヘッドセット「HoloLens」を軍用化することを目指して、マイクロソフトが受注したプロジェクトだが、なかなか実用レベルには至らず、開発も停滞していた。
今後は、Andurilがこの契約の主導権を握り、ハードウェアとソフトウェア開発とスケジュール管理を行う一方で、マイクロソフトはクラウドサービスの提供で関与を継続することになる。
マイクロソフトはIVASの開発で、ヘッドセットを装着した兵士の視界に暗視機能と、ミッション遂行に必要な情報を提供するTAK(Tactical Assault Kit)ソフトウェア、マップなどを表示HUD(Head Up Display)を提供する計画だった。だが、2022年の国防総省の評価では、IVASは兵士が満足する完成度にはなく、そのままでは最大218.8億ドルの予算を無駄にしかねないとされていた。2023年の段階でも、防衛産業メディアBreaking Defenseは情報筋からの話として、IVASのプロトタイプにはまだ技術的な問題を抱えていたと報告されている。
そのため、米陸軍は昨年8月にプロジェクト契約からマイクロソフトを外すことを検討したが、マイクロソフトは関与を維持するために新たな入札に参加する意志を示していた。
パーマー・ラッキー氏は、今回のブログ投稿で「兵士をテクノマンサー化し、我々の軍用ロボティクスと彼らをペアリングする戦術的な理由からAndurilのプレゼン用事業計画に載っている製品の1つだった」「もしAndurilが、IVAS計画が立ち上げられた頃のまだ十数人ほどの規模しかなかったとしても、われわれは持ち前の型破りな発想力で、最初からプロジェクトを勝ち取ることができたと信じている」と述べた。
そして、IVASプロジェクトには多数の新機能を取り入れることを計画しているとしたが、その詳細は明かしていない。なお、昨年9月の時点で、すでにマイクロソフトのIVASヘッドセット上でAnduril製のソフトウェアプラットフォームであるLatticeが動作していたとのことだ。
この契約がマイクロソフト主導からAnduril主導に変わった場合、巨額の予算がそのまま引き継がれるのかはまだわかっていない。少なくとも、国防総省や米陸軍の側はこれまで、予算削減やプロジェクトの中止をちらつかせている。
ちなみに、マイクロソフトの複合現実技術担当VP、ロビン・ザイラー氏は、声明で「IVASプログラムを通じ、陸軍兵士のためのMRヘッドセットというコンセプトを実現するのを支援するため、これまでに当社のチームが注いだ仕事を、われわれは強く誇りに思っている」と述べている。
- Source: Palmer Luckey Microsoft
- via: TechCrunch