災害現場への物資輸送に良さそう

約270kgの荷物を500km以上運べる大型貨物ドローンが離陸テストを完了

Image:Pipistrel

スロベニアの電動航空機メーカーPipistrelが、貨物運搬用の大型ドローン「Nuuva V300」の浮上試験を実施、成功した。

大型ドローンといえば、これまでは人員輸送のために開発されるものをよく見かけたが、Nuuva V300は貨物輸送を主な用途としている。航空機の胴体部分がマルチローターのフレームに乗っかっているような外観をしており、貨物の積み込みは、ボーイング747貨物機のように機首部分を上に跳ね上げるようにして開いて行うことができる。胴体内の空間は約2.8m3で、貨物用ユーロパレット(欧州圏内物流用パレット)3つ分の貨物を積載可能だ。

Image:Pipistrel

Nuuva V300は電気とガソリンのハイブリッド式パワートレインを搭載し、垂直離陸時には8つのモーターを使い、水平飛行で巡航するときは内燃エンジンを使用する。貨物の最大積載量は最大272kgで555.6kmの運搬が可能だという。

機体は事前に決められた飛行計画に従って目的地に到達可能な目視外飛行(BVLOS)機能を備えており、米軍のドローンプログラムに携わった経験を持つTextron Systemsが開発した地上管制ステーションのオペレーターによって遠隔監視される。なお、水平飛行中は米ハネウェルが供給するフライ・バイ・ワイヤー式の三重冗長飛行制御システムで制御されるとのことだ。

バッテリーシステムは、コストや効率面の最適化のために自社開発されており、主として物流用途で利用する予定ではあるものの、その他に、船舶からの陸揚げ業務、人道支援や災害救援のための物資輸送、捜索救助に至るまで、商業および防衛任務にも対応することを想定しているという。

Pipistrelは現在2機目のNuuva V300を準備中で、2025年内に完成させて飛行試験に加える予定とのことだ。

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