Waymo的なサービスになる?

テスラ、完全無人・無監視の“自動運転ロボットタクシー”を発表。テキサス州オースティンで6月開始

Image:logoboom/Shutterstock.com

イーロン・マスク氏は、自身がCEOを務めるテスラの四半期業績報告で、投資家に対し「6月よりオースティンで無監視の完全自動運転有料サービスを開始する予定だ」と述べた(無監視とはUnsupervised、つまりハンドルの把持が不要という意味)。

株主に送付した資料の中で、テスラは1月時点で、顧客の車に搭載した監視付きFSDシステムが累計30億マイル(約48億km)以上を走破したと報告している。このシステムは名前とは裏腹に完全自動運転を提供するものではないため、ドライバーはこのオプションを使用中も常に周囲に気を配り、ハンドルを握っている必要がある。

しかしテスラは最近、同社の車両数十台がまったくの無人で工場敷地内を走行する動画をXに投稿した。マスク氏は、無監視のテスラ車両がテキサスの工場でもまもなく同様に運行される予定だと述べている。

Bloombergは、12月にテスラがオースティンの自動運転当局とロボットタクシーのサービス開始について協議していることを報じていた。一連の動きを眺めれば、今回のマスク氏による無監視かつ完全自動運転の有料サービス開始の話を聞いても驚くことはない。

ただ、電気自動車情報メディアであるElectreckは、マスク氏が以前はカリフォルニア州とテキサス州で2025年第2四半期に無監視の自動運転提供を開始すると言っていたことを取りあげ、今回の発言がテキサス州からより限定的なオースティンに変わり、さらに顧客のテスラ車に完全自動運転を提供するのではなく「有料サービス」になったことを指摘している。

Electreckによると、これはテスラがオースティンで、遠隔操作と位置情報に基づくジオフェンス付き自動運転配車サービスを開始することを示唆しているとのことだ。つまり、Googleの自動運転車開発部門であるWaymoが米国のいくつかの都市で提供してきたサービスに数年遅れで、テスラが競合サービスを立ち上げるというわけだ。

テスラの自動運転機能は、LiDARを搭載しないなど、他社とは大きく異なっている。LiDARを使わない代わりに、テスラ車はカメラ映像によるコンピュータービジョン、つまり主に映像認識によって、周囲にある障害物やその他物体を検知・把握する。ただ、この仕組みは雨で濡れた路面に反射する光や太陽光によって惑わされやすく、その問題が原因とされる事故の発生もなくなってはいない。最近では、昨年4月に前を走るバイクにFSDを使用中のテスラ車が追突し、転倒したライダーを跳ねる事故が発生している

ちなみにマスク氏は2016年に、テスラの完全自動運転が「2年先」に実現すると述べた。2017年には「間違いなく6か月先」には完全自動運転を出すと述べ、「2年先」になれば顧客はテスラで移動しながら運転席で本当に眠れるようになると語った。2018年には、自動運転が「1年先」に登場し、人間が運転するよりも「200パーセント安全」になると主張した。2019年には、「今年中に完全な自動運転機能が登場する」と述べていた。

マスク氏は以前、2016年以降に製造されたすべての顧客向け車両が完全自動運転に対応すると述べていた。テスラ車のオーナーたちは、いまもその言葉を信じて待っているかもしれない。

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