「工場出荷時の設定にリセット」義務付けがネックか

「TikTok入りスマホ」が数千ドルで多数転売。アプリ入手不可の米国で

Image:QINQIE99/Shutterstock.com

ショート動画共有アプリTikTokは米国において、トランプ政権のもとで米企業の買い手を見つけるための猶予期間を与えられたものの、App StoreやGoogle Playストアでの配布は停止されたままだ。アプリのダウンロードが間に合わなかった人は、TikTokインストール済みのスマートフォンごと買い求めるしかない。

そんななか、米eBayでTikTokアプリ入りスマホがメーカー希望小売価格よりもはるかに高値が付けられ、約9000件も出品されていることが明らかとなった。

様々なメーカーやモデル、キャリアに応じて、あらゆるデバイスが出品されている。安いところではGalaxy A54 5Gは250ドル、iPhone 11 Pro Maxは450ドルといったところだ。

新しめのデバイスであれば、ほとんどの開始価格は数千ドルにも上っているという。米GizmodoによればiPhone 14が7500ドルで、記事公開時点では1人がカートに商品を入れていたとのこと。日本国内からも、5万4000ドル(約845万円)まで上がっているものも確認できる。いずれにせよ、米国内であれ送料の支払いが必要という徹底ぶりだ。

もっとも、過去24時間で数千件も閲覧された出品もあるものの、売り手の思惑通りにはいっていないようだ。eBayの「完了した取引」フィルターをかけると、販売済みデバイスのほとんどは、売り手が希望価格ではなく提示価格で応じたことが分かる。

これと似たような現象は、以前にもあった。モバイルゲーム『Flappy Bird』が大ブレイクした当時、開発者が自らの精神衛生上の理由からアプリの公開を取り下げた際、インストール済みスマホが9万9900ドルで落札されていた。もっともeBayは出荷前に工場出荷時の設定にリセットする必要があるとして、最終的には取り消されていた

今なおeBayは、自社プラットフォームで販売されるデバイスに出荷時の設定にリセットを義務付けている。そのため、販売済みに見えているTikTok入りスマホも、売り手は濡れ手に粟とはいかないかもしれない。

もっとも、転売はeBayに限られているわけではない。旧Twitterのアイコンが「X」に変更された当時、カナダのクリエイターが「オリジナルのTwitter入りiPhone 14 Pro Maxが2200ドルで販売中だ」と報告して話題になっていた。

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