Spotifyは総支払額が重要と反論

Spotifyの再生1回ごとのアーティスト支払額、Apple Musicの半額以下との報告

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様々な音楽ストリーミングサービスがしのぎを削っているなか、アーティストに対する報酬には格差があるとの調査結果が公開された。ストリーム1回ごとの平均でApple Musicは、Spotifyの2倍以上を支払っているという。

独立アーティスト向けの音楽カタログ収益プラットフォームDuettiは、第2回年次音楽経済レポートを発表し、各サービスの支払い額を報告している。「何百万ものデータポイントと業界動向の洗練された定量分析に基づく」独自のデータと分析を使っているとのことだ。

独立アーテイストのストリーム(再生)あたりの収益は大幅な減少が続いた後に、安定し始めているという。1000ストリームあたりの収益は2021年以降、年間平均で7%減り続けた後に、2024年には前年比でわずかに減少(2%未満)に留まったとのことだ。

しかし、ストリーミングサービスごとに報酬にはバラツキがあるという。2024年のストリーミング1000回ごとの支払い額は、次の通りと報告している。

  • Amazon:8.80ドル
  • Apple Music:6.20ドル
  • YouTube:4.80ドル
  • Spotify:3.00ドル

つまりApple Musicは昨年、Spotifyの2倍以上の金額をアーティストに支払っていることになる。その要因の1つとしては、Spotifyの無料プランが挙げられている。広告が数多く含まれているにもかかわらず、その収益は「アーティストの銀行口座にあまり貢献してない」とのことだ。

YouTubeも、広告入り無料プランのユーザーが大きな比率を占めていることに変わりはない。それでも平均して50%以上も支払いが多いことから、Spotifyの広告ありプランが低報酬の理由とは言い切れないとの趣旨を述べている。

その一方、Apple Musicは「高価格市場での足場と広告サポート層の欠如」つまり有料サービスのみであり、より多くの支払いができるだろう。実際、そうしていると指摘している。そしてAmazon Musicは、サービスが有料のAmazonプライムに組み込まれているため、最も高い料金が支払えるというわけだ。

この報告に対して、Spotify広報は反論を表明している。「これらの主張は馬鹿げており、根拠がない」とのこと。そもそもストリーミングサービスは再生ごとに支払いする仕組みなら、サービス側には再生数を減らそうとする動機が生まれる。それではユーザーの利用が減り、アーティストとのつながりも薄れ、結果的に全体の収益も減ってしまう。

同社のアプローチは正反対であり、ユーザーの利用を増やすことを目指しているという。利用が増えれば、ユーザーは長くサービスを使い続け、プレミアム(有料)プランを選ぶ可能性が高まる。この仕組みにより収益が増え、最終的にはアーティストへの支払いが増えるよう「意図的に」そうしているとのこと。そして「総支払額で業界をリードしている」と主張している。

これらは、Duettの報告とは直接に矛盾しない感もある。上記の数字や推測を「出典不明」としつつも、Spotifyは「前提」つまりストリーム1回ごとの平均額そのものの意味を否定し、総支払額こそ重要だと強調しているようだ。