2種類のメリットとデメリットを解説

スマートウォッチの選び方。ポイントは2種類「ミニスマホ型」と健康重視の「フィットネス型」

コロナ禍がもたらした健康ブームにより、普及が進んだと言われるスマートウォッチ。実際、国内での販売台数は、2021年に大きく増加した。

2023年度(2023年4月~2024年3月)こそ需要の反動と急激な円安による端末価格の高騰などを受けて出荷台数が減少したが、2024年度には2022年度の台数規模となる394.3万台まで回復、2028年度には481万台まで拡大するとMM総研は予想している

ところで、スマートウォッチと聞いて思い浮かべるのはどのような製品だろうか。一口にスマートウォッチと言っても、Apple WatchやPixel Watchなどの高機能なものから、XiaomiやHUAWEIのスマートバンド、ガーミンなどのランニングに特化したものなど、さまざまな製品が発売されている。

大まかには、Apple WatchやPixel Watch、Galaxy Watchなど高性能な「腕に着けるミニスマホ」のようなタイプと、ヘルスケアや運動管理に特化した「フィットネストラッカー」タイプに分けられるだろう。

どちらも「スマートウォッチ」と呼ばれ、バッテリー持ちや機能の違い、価格面などを比較されがちだが、そもそもの設計思想や機能に対する重みづけが異なるので、単純には比較することができない。

そこでこの記事では、メリット・デメリットなどを比較しながら、それぞれにどのような特徴があるのかを確認していこう。

高機能な「腕につけるミニスマホ」タイプ

高機能な「腕に着けるミニスマホ」のようなタイプの製品としては、Apple WatchやPixel Watch、Galaxy Watchが挙げられる。HUAWEIのWatch GTシリーズもここに含めても良いだろう。

▲高性能モデルの代名詞「Apple Watch」。写真はSeries10の42mmモデル

このタイプの大きな特徴としては、スマートフォンとの強力な連携が挙げられる。Appleの「WatchOS」やGoogleの「WearOS」など、ベースとなるスマートフォンのOSと互換がある。

そのため、スマホにアプリをインストールすると、対応したアプリを自動でスマートウォッチにもインストールできたり、同じアプリストアからアプリをインストールしたりできるのだ。

▲WeaOS(Pixel Watch)のGoogle Play(左)とApple WatchのAppStore(右)

HUAWEIのスマートウォッチに搭載されているHarmonyOSも、日本での印象は薄いがスマートフォンにも搭載されており、やはり強力な連携が可能となっている。

これにより、単にスマートフォンからの通知を受けられるだけではなく、メールの返信や単独でのアプリや決済機能の利用、さらにスマートウォッチ単独でモバイル通信を行えるCellularモデルもラインアップしている。

スマホを持ち歩かなくても通話を受けたりアプリを使ったりもでき、まさに腕に装着するミニスマホとして利用可能。性能的にも高スペックなものが多く、動作がもたついてイライラするといったことは少ないはずだ。

▲SMSなどの返信や新規のメール送信なども行える

もちろん、いいことばかりではなくデメリットも存在する。それが、バッテリー持ちの悪さと価格の高さ、そしてエコシステムの制限だ。

使い方にもよるが、Apple WatchやPixel Watchは基本的に毎日充電が必要だ。以前は新モデルが出るたびにバッテリー持ちがよくなったとアピールしていたが、最近はどちらかというと充電が速くなったことをアピールするようになった印象もある。バッテリー効率の向上も頭打ちになってきているのかもしれない。

価格もデメリットの一つだ。5万円を超えるのは当たり前で、上位モデルは10万円を超えるものもあり、ミドルレンジのスマートフォンはもちろん、ハイエンドなスマートフォンにも手が届く価格帯となっている。高性能である一方、価格が高いため、なかなか手を出しにくい。

▲Apple Watchの最上位モデルは10万円を超えており、ハイエンドスマホ並みの価格となっている

エコシステムにもデメリットがある。スマホとの連携が強い反面、Apple WatchはiPhoneでしか利用できず、Pixel WatchもAndroidのみの対応となっている。Apple WatchはAndroidでは使えず、Pixel WatchやGalaxy WatchはiPhoneでは利用できない。

手ごろな「フィットネストラッカー」タイプ

フィットネストラッカータイプには、Xiaomi Smart Band、HUAWEI Watch FIT、OPPO Bandなどが該当する。ガーミンやFitbitなどの運動特化型のスマートウォッチは、フィットネストラッカーのイメージとは異なるかもしれないが、ミニスマホタイプではないという点で、こちらに分類できるだろう。

▲フィットネストラッカータイプの「HUAWEI WATCH FIT 3」

このタイプの特徴としては、手ごろな価格と豊富な健康管理や運動管理機能、そしてバッテリー持ちの良さが挙げられる。

まず価格だが、高機能タイプがスマートフォン並みの価格であるのに対し、フィットネストラッカータイプは1万円程度で購入できるものがほとんどだ。5000円以下で購入できるものも多い。もちろん、ガーミンをはじめとした高価格帯のモデルも存在する。

低価格ながら、心拍数、歩数、血中酸素レベル、睡眠モニタリングなど、ヘルスケア関連の機能は一通り備えており、数十種類の運動の計測にも対応している。GPSを搭載したモデルなら、スマートフォンの助けを借りずにルートを記録することもできる。

▲Xiaomiのスマートバンドは上位モデルでも1万円以下、エントリーモデルは3480円で購入できる

バッテリー持ちも良く、使い方にもよるが、1度の充電で2週間前後利用できるものが多い。充電に煩わされることがないというのは、大きなメリットだ。

多くのユーザーにとって、フィットネストラッカータイプで十分なのではないかと思わせる内容だが、こちらにもデメリットがある。

まず、アプリを後からインストールできない。一部製品ではアプリのインストールに対応しているものの、ほとんどの場合は初期搭載されている機能のみを利用することになる。

また、エコシステムに捕らわれておらず、iPhoneでもAndroidでも利用できる点はメリット。だがその反面、スマホとの連携は弱く、通知を表示することしかできないものが多い。

▲トラッカータイプは後からアプリを追加できないものが多い

どちらを選ぶべきか?

冒頭で述べたように、それぞれのタイプは設計思想が異なるため、一概にどちらが優れているとは言い切れない。自自身の使用目的に合わせて選ぶことが重要だ。

以下に、簡単に2つのモデルの違いについてまとめてみた。

腕につけるミニスマホタイプフィットネストラッカータイプ
製品の例Apple Watch、Pixel WatchなどXiaomi Smart Band、HUAWEI Watch FITなど
価格高い(5万円以上、上位モデルは10万円以上)安い(1万円前後、5,000円以下のものも多い)
機能非常に豊富 (アプリ追加、決済、単独通信など)限定的(主にヘルスケア・運動管理、原則アプリ追加不可)
バッテリー持ち基本的に毎日充電が必要1回の充電で2週間前後利用可能
スマホ連携非常に強力(アプリ同期、通知への返信など)限定的(主に通知の表示のみ)
OS互換限定的(Apple WatchはiPhoneのみ、Pixel WatchはAndroidのみ)高い(多くはiPhone、Android両方に対応)
デザイン多様スポーティーなものが多い
向いている人スマホを頻繁に利用し、機能を拡張したい人、常に接続していたい人健康管理や運動記録を重視する人、価格を抑えたい人

例えば、常にインターネットに接続し、コミュニケーションを途切れさせたくないという人は、Apple WatchやPixel Watchなどの「腕につけるミニスマホ」タイプが適している。

またスマートフォンを頻繁に利用し、その機能を拡張する目的でスマートウォッチを利用したい場合も、拡張性の高い「腕につけるミニスマホ」タイプがお勧めだ。

健康管理や運動記録を主な目的とし、充電の手間を省きたい、通知やアプリ操作は必要としない、価格を抑えたいという人は、フィットネストラッカータイプが適している

ぜひ、自分のライフスタイルに合った一本を選んで、スマートウォッチのある生活を楽しんでみてほしい。

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