生成AIの台頭は商機であると同時に脅威

ストックフォト大手のGetty ImagesとShutterstock、合併で合意。Adobeは株価下落

Image:Getty Images、Shutterstock

ストックフォト大手のGetty ImagesとShutterstockによる合併交渉は、年明け早々に報じられてからほんの数日後、合意に達した。プレスリリースによると、両社は合併により「クリエイティブ、メディア、広告業界の進化するニーズに対応できる体制を整え」、その後3年目までに年間1.5億~2億ドルのコストシナジーが見込まれるとしている。

合併の背景には、生成AIで出力されたビジュアルコンテンツが普及することに伴うストックフォト市場の変化に対応するという目的がありそうだ。両社にとって生成AIはチャンスと同時に脅威と言えるだろう。ストックフォト企業はAI企業に対しコンテンツをライセンスすることで収益を得られるが、それにより強化される画像生成AIツールが、将来的にストックフォトサービスから顧客を奪うことも考えられる。両社はリリース文でも、いまの状況が「急速に進化し、非常に競争の激しい環境」であることを強調している。

この合併における両社の立場は対等とされているものの、合併後に設立される新会社名はGetty Images Holdingsとなり、Getty のCEOが新会社のCEOに、さらにGettyの会長が新会社の取締役会会長に収まる。取締役会の役員もGettyの方が多い。取引の一環として、Shuttestockの株主は1株当たり28.80ドルまたはGetty株13.67株のどちらか受け取る。これによりGettyの株主は合併後の会社の株式全体の約54.7%を所有し、Shutterstockの株主は残りの約45.3%を所有することになる。

Gettyのクレイグ・ピーターズCEOは「両社の補完的な強みを組み合わせることで、顧客の機会にさらにうまく対応可能になるとともに、パートナーや寄稿者、株主に優れた価値を提供できる」と述べている。さらに企業規模の拡大は世界中の顧客へのリーチ能力を高め、コンテンツクリエイターにも恩恵となるだろうとした。

両社は合併取引完了の期限を明らかにしていないが、完了するには規制当局の承認が必要となる。しかし、この合併は当局から反トラスト法の調査対象になる可能性がある。バイデン政権は一貫して大企業による独占に厳しい姿勢を示してきた。ただ、もうすぐ政権を引き継ぐトランプ氏がこの合併をどのように扱うのかはまだわからない。合併完了の条件としては他に、両社株主の承認、Gettyが抱える既存の債務の期限延長または借り換えなど慣例的な事柄が含まれている。

先週まで、両社の株価は長らく値を下げ続けていた。しかし、1月3日に交渉が報じられてから両社の株価は急騰している。一方、ストックフォト市場のライバルであるAdobeは値を下げた。

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