「3と3S」の違いも紹介

専用レンズがおすすめ!メガネユーザーが「Meta Quest 3S」をより快適に使う方法

Meta Quest 3Sと専用コントローラー

Meta(メタ)が10月に発売した最新のMR対応ヘッドセット「Meta Quest 3S」は、4万円台という手頃な販売価格も話題を呼んでいる。

ただ、日常からメガネをかけている筆者のような人間がヘッドセットデバイスの購入を検討する時、重視するポイントは価格だけではない。裸眼のまま、あるいはメガネを掛けたうえで快適なフィット感が得られないと購入後も楽しめない。

Meta Quest 3Sはメガネユーザーにも快適なヘッドセットなのか?Zenniの「Meta Quest 3S用 MR度付きレンズ」を入手して確かめた。

Meta Quest 3Sの発売と同時に、Zenniから登場した専用の「MR度付きレンズ」を取材した

4万円台の廉価版だが性能は上位モデル譲り

Meta Questシリーズはエンターテインメント鑑賞、フィットネスアプリにゲームなど多彩なコンテンツをMeta Horizonストアからダウンロードして楽しめるスタンドアロンのMR(複合現実)対応ヘッドセットだ。今回紹介するMeta Quest 3Sは、アプリ等のコンテンツを保存するためのストレージ容量が少ない128GBモデルが48,400円(税込)から買える。より容量の大きい256GBモデルは64,900円(税込)だ。

右側が上位モデルのMeta Quest 3。大きさや質量はさほど変わらない

2024年12月時点、上位モデルのMeta Quest 3も512GBモデルが併売されている。Meta Quest 3シリーズからカラーによるMR対応になった。エントリーモデルのMeta Quest 3SもクアルコムによるMR向けの上位高性能チップセット「Snapdragon XR2 Gen2」を載せている。グラフィック表示のパフォーマンスなどが改善したことや、本体が薄くなったことから、メタは2021年発売のMeta Quest 2を使っているオーナーに対して3Sへの買い換え・買い増しを強く推している。

筆者はMeta Quest 3をあまりゲームには使わないが、とても完成度の高い「YouTube VR」アプリによるYouTube鑑賞には多用している。空間コンピュータ的な使い方はMacBookと手間なく接続できるApple Vision Proの方をメインにしているが、Meta Quest 3シリーズでもメタ純正の「リモートデスクトップ」や、Immersed Incが開発した「Immersed」アプリを導入するとApple Vision Proとよく似た感じの空間コンピューティングができる。

MetaQuest 3SでYouTube VRを起動。イマーシブな大画面で観るYouTubeコンテンツも格別だ

Zenniの専用レンズと眼鏡スペーサーはどちらがおすすめ?

Meta Quest 3Sがメガネユーザーにも優しいヘッドセットなのかを確かめていこう。

最初に「Meta Quest 3S用 Zenni MR度付きレンズ」を試す。Meta Storeの商品ページを経由してZenni.comから注文する。度入りのレンズは8,099円(税込)だ。傷防止と反射防止のコーティングが施されており、度なしのものも保護レンズとして5,099円(税込)で販売されている。

度付きのZenniによる専用レンズ。ユーザーの処方箋に合わせて調整された状態で納品される

購入時に眼鏡の処方箋の情報が必要になる。筆者は直近にJINSで眼鏡を買った時につくった情報がアプリに保存されているので、そのデータを見ながらZenni.comのページで数値を手入力した。

レンズは注文から10日前後で届く。プラスチック製の軽量レンズだ。Meta Quest 3S本体のレンズの上からはめ込むとしっかり固定される。同じフレネルレンズ方式を採用するMeta Quest 2にも互換性を備えているらしい。

Meta Quest 3Sはフレネルレンズ方式。瞳孔間距離は3段階から調整可能だ

Zenniのレンズを装着して写真や映像を視聴してみる。期待していた通りに視界はとても良好だ。Meta Quest 3に比べるとフレネルレンズ方式の3Sの方がわずかに映像の歪みが感じられることも、Zenniのレンズを通すとよくわかる。

Meta Quest 3Sの商品パッケージには、本体と着脱できるフェイスシールドとの間にはめこむ「眼鏡スペーサー」も同梱されている。このアクセサリーを装着すると、ユーザーが眼鏡をかけたままヘッドセットを装着しやすくなるという理屈だ。

本体に付属する「眼鏡スペーサー」
スペーサーを装着して、その上からフェイスシールドを固定する
メガネスペーサーは装着していない状態
こちらはメガネスペーサーありの状態。スペーサーの有無により見た目には変わらない

筆者はスペーサーを装着しなくても「Meta Quest 3S、オン・ザ・メガネ」ができるような、スリムなフレームの眼鏡を着用している。

だが、やはりメガネの上からMeta Questをかけると、フレームになかなかの圧がかかるため、フレームが歪んでしまうことが気になってくる。実際にいま流行の薄型軽量フレームだとMeta Questのプレッシャーに影響を受けてしまいそうだ。

メガネを装着したままMeta Quest 3Sを使う場合、先に本体の中にメガネを固定してから頭に装着するとスムーズに着脱ができる

筆者のように視力が弱い方は、Meta Quest 3Sを買ったらZenni MR度付きレンズも一緒に揃えることをおすすめする。最初はメガネを使用し、懐に余裕があるときに後から買い足しても良い。

Meta Quest 3Sに専用レンズを装着。少し目元に飛び出てくるが、筆者の場合顔に触れることはなかった
Meta Quest 3にZenniの専用レンズを装着した状態。交換レンズの高さが低いので、見た目にもオプションレンズを装着している感じがしない

「3と3S」Meta Quest本体の“気になる違い”もあった

上位のMeta Quest 3と使い勝手に違いもある。3Sの方がやや視野角が狭くなることは、筆者にとってはさほど気にならなかった。だが先に触れたようにフレネルレンズによる湾曲が若干ながらも気になるし、MRパススルーの映像も上位のMeta Quest 3の方が見晴らしはクリアに感じられる。

またヘッドセットに内蔵するスピーカーも、上位モデルの方が音圧が大きくパワーがあるのでコンテンツのサウンドが聞きやすい。エンターテインメントの視聴環境にもこだわるならば、頑張って上位のMeta Quest 3に手を伸ばしたい。

Meta Quest 3Sもヘッドバンドの本体に近い位置にスピーカーを内蔵している

本体の重さは、3Sの方が1g軽い514gだ。装着してしまえば気にならないほどの差だが、上位のMeta Quest 3の方がやや比重が前のめりで重く感じた。

専用コントローラーによる操作感はどちらのモデルも変わらない。ただハンドジェスチャーによるコントロールは、Meta Quest 3Sでは深度センサーが省かれているせいか、Horizon OSのインターフェースにタッチしたときの反応が少し鈍く感じる。

ただ、Meta Questシリーズの場合は専用コントローラーで画面操作が直感的にできるところが良さなので、ハンドジェスチャーが大きな差を生む要因にならないと筆者は思う。

まとめると、Meta Quest 3Sはメガネユーザーにも楽しく快適に使えるMRヘッドセットだ。だがクオリティにこだわるのであれば、上位のMeta Quest 3にZenniから発売されている「Meta Quest 3用 MR度付きレンズ」を追加する選択がベストだ。既にMeta Quest本体を持っているメガネユーザーの方々は、ぜひ専用度付きレンズを試してほしい。

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