Safariは5年前に削除していました

Firefoxから「Do Not Track」機能が削除へ。理由は「ウェブサイト側が応じないから」

Image:JarTee / Shutterstock.com

Mozillaは、firefoxブラウザーの次期バージョン(v135)から、トラッキング拒否機能である「Do No Track(DNT)」を削除することがわかった。

ウェブサイトWindows Reportは、Firefoxの次期バージョンであるバージョン135のNightly(開発者向けリリース)版からこの変更を発見した

インターネット上のウェブサイトの多くは、ユーザーがどのようにそのサイト上のページを閲覧していったのか、どのボタンをクリックしどのページへと移っていったのかを追跡、分析するための情報を収集する。DNTは、ブラウザーがウェブサイトにアクセスする際に送信するHTTPリクエストに、トラッキングを拒否することを示すシグナルを含めて送ることで、ウェブサイト側に「追跡するな」、「サードパーティのコンテンツプロバイダーに閲覧履歴などの情報を引き渡すな」、という意思表示をする機能だ。この機能は2011年にFirefoxが初めて搭載し、その後GoogleのChromeや、マイクロソフトのEdgeなどにも搭載されている。

だが、DNTは国際的ルールとしての取り決めではなく、あくまでブラウザーを使用するユーザーの意思表示に過ぎないため、ウェブサイト側から見れば、このシグナルを受け取っても従う義務はない。

実際、「トラッキングをしない」ことを売りのひとつとする検索サービスのDuckDuckGoは2019年のブログ記事で、独自の広告ネットワークを持つ「GoogleやFacebook、Twitter(現在のX)を含む大手テクノロジー企業は、サイト利用者のDo Not Track設定を尊重していない」と述べている。

アップルはこうした状況を鑑みて、2019年の時点で同社のSafariブラウザーからDNT機能を削除した。アップルは、DNTシグナルが単にウェブサイト側に無視されるだけならまだしも、逆にユーザーを識別するフィンガープリントとして使われることで、ウェブサイト側が効果的にユーザーを追跡するための情報を与えることになりかねないと述べていた。

インターネットの起源は1969年に米国で稼働したAdvanced Research Projects Agency Network(ARPANET)だ。ARPANETは、当時複数の大学や研究機関構築され、それぞれ独自に発展し始めていたコンピューターネットワークを相互に接続した分散型ネットワークとすることで、それぞれを運用する技術者や研究者の知見を共有することを目的としていた。それは互いの知識を与え合うことでさらに新しい技術を生み出していこうという、性善説の上に成り立つものだった。

だが、1983年にARPANETから米国防高等研究計画局(DARPA)が離れてインターネットと呼ばれるようになり、1990年後半に商業利用やわれわれ一般人に開放され、そこから数十年が経過した現在のインターネットでは、Googleなどいくつかの巨大テクノロジー企業が実質的に大きな影響力を持つようになっており、それらの企業を支えるのが広告ネットワークからの収益となっている。

強制力の無いDNTシグナルを受け取ったところで、広告収入を減らす恐れがあるDNTにわざわざ従う意味がウェブサイト側にはないということだ。

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