軍事関係のコネクションを一気に強化
OpenAI、軍事用AI開発で民間防衛スタートアップAndurilと契約
OpenAIは米国防総省と提携している民間防衛産業スタートアップAnduril Industriesと、軍事用AI開発契約を締結した。AndurilはVRヘッドセットのOculusの共同創業者であるパーマー・ラッキー氏が設立した会社だ。
OpenAIはAndurilとの契約で、GPT-4oなどのAIモデルをAndurilのシステムやソフトウェアに組み込み、米軍における無人機の攻撃に対する防御力の改善を提供するという。
OpenAIは企業ポリシーとして兵器の開発に同社のAIモデルを使うことは禁止しているが、今年1月には「軍事・戦闘」のために同社の技術を組み込むことを明確に禁止するとの記述を削除、すでにDARPAと協力してサイバーセキュリティ関連ツールの開発を行っていることも明かしていた。 また10月には、米軍などに同社製品の売り込みをかけていることも報じられている。
今回の件に関しOpenAIは、飛来する無人機の脅威からの防御目的で提携しているため、ポリシー違反には当たらないとの見解を示したとWashington Postは伝えている。米国防総省はすでに、Andurilから対小型ドローン用迎撃機「Roadrunner」を購入している。Andurilは他に監視塔、通信妨害システム、軍用ドローン、小型の自律航行型潜水艦といったプロジェクトで国防総省と関わっている。
OpenAIとAudurilは、両者の契約は米軍の兵士を守り、台頭する中国のAIの進化に対抗するための手段だとしている。AndurilのCEOであるブライアン・シンフ氏は「われわれは協力により、軍や諜報機関のオペレーターがプレッシャーのもとで、より速く、より正確な判断を下せるようにするための責任あるソリューションの開発に取り組んでいる」と述べた。
OpenAIのサム・アルトマンCEOはAndurilのプレスリリースで、同社が可能な限り多くの人々に利益をもたらすためのAIを構築し、今回のパートナーシップで米軍兵士の保護を保証するとともに、安全保障に関わる人々が市民の安全と自由を守るため責任を持ってこの技術を使用することを支援するとした。
ちなみにOpenAIは今年、元国防総省政策担当代理のサシャ・ベイカー氏や、OpenAIの役員を務める元米国家安全保障局(NSA)長官のポール・ナカソネ氏など、国防のリーダーを幹部に迎えることで、軍事関係のコネクションを強化している。