アップルもAWSの大口顧客です

Amazon、独自生成AI「Nova」発表。画像・動画生成に対応するバージョンも

Image:Amazon.com

米Amazonは、ラスベガスで開催中の「AWS re:Inventカンファレンス」の場で、AWSで利用可能な生成AIモデルシリーズの「Amazon Nova」を発表した。

Novaシリーズにはいくつかのバリエーションがある。まず、基本的な生成AI機能を提供する “understanding” モデルが3つのティアで提供される。

・Nova Micro

一般的なテキスト生成AIモデルで動作速度と低コストさが特徴。最大128Kトークンまで。

・Nova Lite

テキスト、画像、動画を取り込み、それを元にしてテキストを生成可能な低コストのマルチモーダルモデル。最大300Kトークン。

・Nova Pro

幅広いタスクを精度、速度、コストの最適な組み合わせでこなせるという、最上位マルチモーダルモデル。最大30万トークンを処理可能で1.5万行以上のコードベースを処理可能。

また、Amazonは、Proのさらに上位になる Nova Premiere を、2025年初頭の提供を目指し準備中だと述べている。こちらは「複雑な推論タスクに対応する最も有能なマルチモーダルモデル」になるとのことだ。

このほかにも、画像や動画コンテンツを生成するAIモデルも発表された。「スタジオ品質の画像を生成できる」とうたう静止画生成AIの Nova Canvas は、インペインティング、アウトペインティング、背景除去などの豊富な編集機能を備えたスタジオ品質の画像を生成すると紹介されている。

動画生成用の Nova Reel は「テキストプロンプトと画像を使って短いビデオを制作、ビジュアルスタイルとペースを制御し、マーケティング、広告、エンターテイメント用のプロ品質のビデオコンテンツを生成」可能とうたっている。その性能の一端を紹介するために作られた架空の食品企業のCM動画ではパスタで作られたファンタジー色強めのジオラマや、食事を楽しむ家族の模様をこのReelsで生成したという。

また、これらのコンテンツ生成AIモデルには「責任あるAIの使用を促進する」ための「透かし機能」を備えていると説明している。

AWSはインターネットインフラの分野で多くのサービスを提供しており、ユーザー企業は新たにAIを活用したサービスを構築する際に、Amazon Novaシリーズを選択することで親和性の高いシステムを構築できそうだ。

ちなみに、AWS re:Invent カンファレンスでは、Anthropicが、Amazonの開発するカスタムAIチップ「Trainium 2」を利用した巨大なAIコンピューティングクラスターを構築中であるとも発表した。同カンファレンスにはアップルのAI担当シニアディレクターであるブノワ・デュパン氏も登場した。アップルはこれまで他社サービスについて語ることはほとんどなかったが、デュパン氏によればSiriやApple Maps、Apple Musicなどのサービスでもう10年以上にわたってAWSを使ってきたとのことだ。Anthropicと同様に、アップルもTrainium2チップを今後のサービスに活用していくという。

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