じ…じゃあ、騎馬立ちならいい?

長時間座りっぱなしは健康に悪いが「立ちっぱなしも健康に悪い」との研究報告

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近年、PC作業などのデスクワークが多くなり、仕事でもプライベートでも長時間座りっぱなしな生活スタイルが当たり前になってしまっている人も多いはず。しかし、座ったままの生活が長くなると、適度に運動している人に比べて、高血圧や高血糖、内臓脂肪の増加、コレステロール値の上昇など、さまざまな健康リスクが増大し、2型糖尿病や心血管疾患、ガンを誘発しやすくなることが報告されている。

特に座った姿勢が1日に8時間以上という場合は、肥満が多く、死亡リスクも高いと言われている。さらに腰への負担も大きくなることから、近年では立った姿勢でデスクワークをこなせるスタンディングデスクに注目し、またそれを使っている人も多いことだろう。

だが、フィンランド・トゥルク大学の研究者による最新の報告によると、仕事などで日常的に起立した状態が続くような場合も、血液が下半身に集まってしまうため、それをくみ上げるポンプの役割を果たす心臓への負担が大きくなり、血圧リスクが高まってしまうのだという。

研究者は、スタンディングデスクはオフィスで座りっぱなしなことが多い人には良い気分転換になるものの、ずっと立ちっぱなしで作業を続けるのはかえって有害だと述べ、スタンディングデスクで長時間作業をするよりは、数時間は普通に座って仕事をこなし、30分おきに少し歩いたり、休憩を取る方が良いだろうと述べている。

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退職が近い年齢のオフィスワーカーを対象として行われた今回の研究では、大腿部に取り付けた加速度計で勤務時間、それ以外の時間、休日それぞれで24時間の連続データを測定した。また携帯型の血圧計も装着して、30分おきに自動的に血圧データも取得した。

「1回の測定よりも、24時間の血圧の変化を見る方が、血圧が心臓や血管にどの程度負担をかけているかをより正確に知ることができる。日中は血圧がやや高く、夜間でも十分に下がらない(高血圧が続く)場合、血管が硬くなり始め、心臓は増加した圧力に対処するためにより多くの働きをしなければならない。これが何年も続くと、心血管疾患の発症につながる可能性がある」と研究者は述べた。

この研究では、座った状態で仕事をすることは必ずしも血圧に悪影響を与えているわけではないことがデータから示唆されている。ただ、まったく座りっぱなし、立ちっぱなしが良いのではなく、上に述べたように座り仕事でも立ち仕事でも、適度に休憩を取り、歩く時間をとること、また休日などの余暇にはできるだけ何らかのスポーツやエクササイズなど、身体を動かす習慣を持つことが、健康維持のために良く、仕事などで溜まったストレスの発散にもなるとのことだ。

乱暴に言ってしまえば、以前から当たり前に言われていることを確認しただけのような研究結果だが、もしこれまで「自分はスタンディングデスクだから健康的」と思っていたのであれば、もっと身体を動かすことを考えるべきかもしれない。

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