「フィルムは暗闇の中で作られるもの」
コダック、全フィルム生産を一時停止。売れないのではなく、もっと作るため
米イーストマン・コダックは、すべてのフィルムの生産を一時的に停止した。フィルムの需要がなくなったわけではなく、ニーズを満たすため増産するためとのことだ。
米Kosmo Fotoの報告によると、これは同社のCEOであるジム・コンティネンザ氏が2024年第3四半期決算報告の電話会議で発表したことだ。ニューヨーク州ロチェスター工場のフィルム製造ラインを改善して、近代化するためだという。
コンティネンザ氏いわく、同社のフィルム販売は、映画やスチール写真、その他の分野で増加しているとのこと。これまでも製造工程への投資を続けてきたが「暗闇に光をもたらすためには完全閉鎖が必要だ」「フィルムは暗闇の中で作られる」と述べている。
もっとも、生産停止はコダックのフィルム供給に影響を与えることはない見通しだ。同社は工場閉鎖までの数か月間、生産量を増やして在庫を準備していたと説明されている。
コダックは2020年、デジタル写真の出現により需要が長年にわたり減り続けた後、2015年~2019年に静止画用フィルムの生産量を2倍以上も増やしたと発表していた。さらに2023年には、コンティネンザCEOは「世界中の映画製作者や写真家からの需要がある限り、フィルムの製造を続ける」との決意を表明している。
フィルム撮影といえばクリストファー・ノーラン監督(『ダンケルク』や『TENET』、『オッペンハイマー』にコダック製フィルムを使用)などハリウッド映画関係者に注目が集まりがちだが、実はデジカメで育ったZ世代にもフィルムが親しまれつつある。アナログ写真の独特の美しさや、写真を撮る際のフレーミングやカメラ設定を綿密に行う奥深さが受け入れられているようだ。
- Source: Kosmo Foto
- via: The Verge