Googleマップの従業員1人が過失致死で逮捕されています

Googleマップが崩落した橋を通るようナビ、転落したドライバーが死亡

Image:ardiwebs/Shutterstock.com

インド北部ウッタル・プラデーシュ州にあるラムガンガ川で、以前の洪水で橋が崩落しているのを知らずに通行しようとした自動車が転落、乗っていた3人が死亡した。この車は事故時にGoogleマップのナビ機能を使用していたという。捜査当局は、州道路局の担当者4人に加え、Googleのマップ担当従業員1人を過失致死容疑で逮捕、告訴した。

事故は深夜に発生したため、地域住民に発見されたのは翌朝のことだった。事故現場となった橋は今年発生した洪水で一部が崩落しており、安全のための警告表示やバリケードなども設置されていなかった。住民は橋の崩落を知っていたが、3人は別の街から現場を訪れており、Googleマップに導かれるがままに走行したようだ。

この事故は人々の間に、インドの道路管理体制への批判と共に、Googleマップのナビゲーション機能にこの事故の責任があるのか否かという議論を巻き起こしているという。

Googleマップはスマートフォンさえあれば誰でも無料で利用でき、ターン・バイ・ターン方式のカーナビゲーション機能も備えている。

ただBBCヒンディーによれば、このナビ機能はたびたび自動車では通行が困難な道路に誘導したり、致命的な事故になりかねない状況にドライバーを導いたりすることがあり、批判もされてきたとのことだ。

たとえば、2021年にはGoogleマップの指示どおりに走行していたとされる自動車がダムに落ちて、ドライバーが死亡した。さらに2023年にも、大雨で道路が冠水するなか、Googleマップの指示どおりに走行していたとされるクルマが川に突っ込んで2人が死亡している。後者の例では、警察は道路が冠水するような状況ではマップアプリに頼りすぎず、目の前の状況を見て無理な走行をしないよう注意喚起を行った。

これらの事故は、いずれもGoogleマップのナビを使っていたことが伝えられている。だが、いくらGoogleマップといえども、リアルタイムで道路状況を把握できるものではない。Googleマップの利用者が多い地域なら、道路の渋滞状況は自動的に表示されるが、事故・工事中などの情報はユーザーや公的機関からの報告によってマップ表示に繁栄されるようになっている。

地図プラットフォーム「Potter Maps」の創業者で、以前はGoogleでマップ部門にいたこともあるというアシシュ・ネール氏は、Googleマップは、毎日寄せられる何百万もの報告や苦情には人力で対応できないため、主に渋滞に関連する苦情や当局から通報された苦情の処理を優先していると述べ「マップ機能のオペレーターは、衛星画像やGoogleストリートビュー、公的機関からの通知を見て、道路状況が変わったことを確認し、マップ上の情報を更新する」と、その仕組みを説明している。そして、世界中で地図情報を管理するGoogleマップのようなサービスでは、路上で起こるあらゆる変化に逐一対応するのは非常に困難だとした。

冒頭の事故に関しては、もし、しかるべき報告があったにも関わらず、マップ表示にそれを反映していなかったのなら、Googleマップ側にも過失があると言えるかもしれない。

ちなみに、Googleマップの利用規約には「ユーザーは自己責任のもとで自主的に判断」して行動する必要があること、「実際の状況が地図の検索結果やコンテンツと異なる場合」があることが明記されており、もし事故が起こったとしても、ユーザーの「行為とその結果は、すべて自己責任」になると記されている。

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