ブレーキダストが出ないだけでもありがたいかも

メルセデス、EVモーターに内蔵する「インドライブブレーキ」機構を開発。実質メンテフリー

Image:Mercedes-Benz

メルセデスが、電気自動車の駆動装置内にブレーキ機構も内蔵した「インドライブ・ブレーキ」システムを開発した。

電気自動車は駆動用モーターを発電機として使い、その抵抗で制動力を得る回生ブレーキという仕掛けが使えるため、通常のブレーキへの負担は軽い。そのため、フォルクスワーゲンのID.4やアウディのQ4 E-Tronのように、制動力は低いものの安価なドラムブレーキを採用している電気自動車もある。

メルセデスは、電気自動車の制動機構を駆動装置に統合することで、ドラムブレーキすらもなくす方法を考案した。このインドライブブレーキシステムには、駆動軸と共に回転するブレーキパッドを、固定されているブレーキディスクに押しあてることで制動力を発生する。

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ブレーキパッドの寿命は駆動装置の寿命以上になっているため、交換する必要はない。またパッドの摩耗によって発生するダストは駆動装置内のコンパートメントに収納されるため、除去する必要もない。

このようにメンテナンスフリーなブレーキ機構をメルセデスが開発した理由のひとつは、欧州で今後導入される排出基準「EU7」が、自動車における排出物の対象を排気ガスだけでなく、部品の摩耗による微粒子状の物質まで含めているからだ。タイヤに関しては手を加えるのは難しいものの、ブレーキに関しては、インドライブ化することでダストを外部に漏らさずに済むため、自動車メーカーに求められる基準をクリアするのに役立つはずだ。

各タイヤホイールから従来のブレーキがなくなることには、他にもさまざまなメリットがある。まず、自動車のバネ下重量が軽減され、走行中の安定性が高まる。数日間クルマに乗らずにいてもブレーキディスクが錆びることはなく、錆によるダストの増加や、ブレーキディスクの摺動痕が気になることもなくなるだろう。ディスクの冷却も気にする必要がなくなるため、ホイールデザインの自由度が増し、完全に密閉して空気抵抗を減らすようなホイールカバーも使用可能になる。

メルセデスは、このシステムがすでにテスト段階にあるとしているが、実用化がいつ頃になるのかについては明言していない。

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