画面サイズを取るか、持ちやすさを取るか

新しくなった「Kindle」と「Kindle Paperwhite」買うならどっち? 2024年モデル比較レビュー

右が「Kindle」、左が「Kindle Paperwhite」

Amazonは10月16日、電子書籍リーダー「Kindle」および「Kindle Paperwhite」の2024年モデルを発売した。価格はKindleが1万9980円(税込)、Kindle Paperwhiteが2万7980円(税込)。

Kindleは従来と世代は変わらず第11世代のままだが、ディスプレイのコントラスト比と輝度が向上。一方、Kindle Paperwhiteは第12世代へと新しくなり、画面サイズが7インチに拡大されたほか、ページめくり速度なども向上している。

初めてKindleの購入を検討している方の中には、この2モデルで迷っている方も多いだろう。そこで本記事では、両モデルがどう違うのか、そしてどちらを購入したほうがいいのか、出来るだけ参考になるようにレビューをお届けしたい。

なお、記事中で表示しているマンガの画像は、電書バトHPで公開されている「ブラックジャックによろしく」(著者 佐藤秀峰 氏)のPDFを利用している。Kindle版の表示ではないので、あくまでもディスプレイ表示の確認用と考えていただきたい。また、テキストは、青空文庫の「坊ちゃん」を利用している。

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サイズ感と持ちやすさ

まずサイズ感だが、Kindleの6インチに対してKindle Paperwhiteは7インチとワンサイズ大きい。本体サイズも157.8×108.6×8.0 mmに対して176.7×127.6×7.8 mmとなっている。

▲Kindle Paperwhite(左)とKindle(右)

数字を見ただけではイメージがしづらいので他のものと比べてみると、KindleはA6サイズ(148×105mm)、Kindle Paperwhiteはコミック本に使われる小B6判(174×112 mm)に近いサイズ感だ。

▲左から、iPad mini 6、Kindle Paperwhite、Kindle、iPhone 15 Pro

注意点として、このサイズは筐体(ベゼル)を含むサイズだ。ディスプレイの寸法だけを実測すると、Kindleが約122×90mm、Kindle Paperwhiteが約143×107mmだった。表示エリアだけを考えると、Kindle PaperwhiteのほうがA6サイズ(文庫本サイズ)に近い。文庫本に近いサイズだからとKindleを選ぶと、表示エリアがイメージよりも小さかったということになるので注意してほしい。

▲A6サイズのほぼ日手帳(中央)と比較。Kindle(右)の本体サイズはA6サイズだが、ディスプレイ部分ではKindle Paperwhite(左)のほうがA6サイズに近い

画面サイズは小さいKindleだが、持ちやすさでは間違いなくこちらが優れている。Kindleは158gと軽量で、下部の広いベゼル部分をつまむように持っても疲れにくい。横幅も108.6mmと狭いので、手が小さい人でもしっかりと握ることができるだろう。

▲Kindleは軽く、つまむように持つことが可能

一方、Kindle Paperwhiteは211gと約50g重く、サイズも大きいため、下部ベゼルを持つ際はつまむというより、しっかりと握る必要がある。そうしないと、バランスを取りにくい印象だ。

▲実際に片手で利用する際には、上図のように持って親指でタップやスワイプすることになるだろう。Kindle Paperwhiteでは、この持ち方がややきつく感じた

画質と表示性能はそれほど変わらない

ディスプレイの解像度はどちらも「300dpi」となっているが、画面サイズが6インチと7インチなので当然ピクセル数は異なっている。スクリーンショットを撮って確認したところ、Kindleが1072×1448ピクセル、Kindle Paperwhiteが1272×1696ピクセルだった。

実際に見比べてみると、たとえばホーム画面でもKindle Paperwhiteのほうが表示される書影が多くなっている。

▲Kindleのホーム画面。同じ「300dpi」だが、Kindle Paperwhite(左)のほうが情報量が多い

また、マンガを表示してみると、やはりKindle Paperwhiteのほうが圧倒的に読みやすい。Kindleもスマートフォンと比べると読みやすいが、そこまで大きな差は感じなかった。

表示品質に関してはどちらも16階調のグレースケールで共通だ。Kindleは表示の鮮明さが向上し輝度も強化。Kindle Paperwhiteと同水準に引き上げたというだけあり、見た目でKindle Paperwhiteに劣るということはない。

▲Kindle(右)のほうが、ディスプレイが若干青みが買った印象。こちらのほうが引き締まって見える気がする

これは個人的な好みの問題かもしれないが、やや暖色系の色味のKindle Paperwhiteよりも、若干青みが強いKindleの表示の方が引き締まった印象を受けた。

ただ、Kindleには調光機能はあるものの、調色機能は非搭載。寝る前などにこの色味で読書するのは、やや目に悪い気もする。その点、Kindle Paperwhiteには暖色系の調色機能を備えており、目に優しそうだ。

▲Kindle Paperwhite(左)には暖色系の調色機能があるので、夜間や暗い場所で見る場合には目が疲れにくそうだ

操作感とパフォーマンスならKindle Paperwhite

操作感については、ページめくりの速度は体感ではほとんど変わらない。Kindle Paperwhiteのほうがわずかに反応はいい気もするが、誤差の範囲と言っていいだろう。より顕著な違いは、スリープからの復帰速度やホーム画面・ライブラリ画面の表示速度で、これらはKindle Paperwhiteが明らかに優れている。読書中は気にならないものの、日常的な使用では、この細かな差が積み重なってストレスとなる可能性はありそうだ。

自分の使い方にあった選択を

画面サイズを取るか、持ちやすさを取るか、あるいはパフォーマンスを重視するのか。大まかな判断基準としては、以下のようになる。

  • マンガを主に読むので画面サイズ重視:Kindle Paperwhite
  • 通勤の電車内など、移動中に利用する:Kindle
  • 価格重視:Kindle
  • パフォーマンス重視:Kindle Paperwhite
  • 入浴中に読むので防水機能必須:Kindle Paperwhite

湯船に入りながらのんびり読書を楽しみたいというのなら、防水のKindle Paperwhite一択だが、そうでないのなら、主にマンガを読むのか、テキスト主体なのか、外に頻繁に持ち出すのか、自宅でのみ使うのか、自宅内で持ち歩くのかなど、自分の使い方を考慮して選ぶと良いだろう。

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