効率良く配送量を増やすため

配送効率向上のためドライバーにARメガネを配布?米Amazonが検討中

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米Amazonは、配送トラックのドライバーにARスマートグラスを支給し、配達にかかる時間わずかずつでも短縮、効率化することを検討中だと伝えられている。

Reutersが匿名の事情に詳しい人物から得た情報として伝えたところでは、ARグラスを使うメリットとして、次の配送場所へのターン・バイ・ターンのナビゲーションや、配送時の障害物(番犬や複数ある扉のどれを使用するかなど)回避に関する情報を提供することで1件1件の配送にかかる時間を短縮できると考えている模様だ。さらにARグラスを使うことで、Amazonはドライバーに専用のGPS端末を持たせる必要もなくなるという。

これは、このところeコマースへの取り組みを強化して価格引き下げ効果も引き出している米ウォルマートとの競争に対抗するための措置だ。ウォルマートは、これからの年末商戦など、繁盛期に増加するオンラインの注文を捌くために、独立系の配送トラックドライバーに追加のインセンティブを支給するという。

よく言われる配送の 「ラストワンマイル」は、配送先1件1件を物理的に移動していく必要があるため、より多くの人件費、より多くの燃料が必要になるまた複雑な配送の計画などにもコストがかかるものだ。ある試算によれば、商品が顧客の玄関先まで届くのにかかるコストの半分はラストワンマイルで発生するという。

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仮に1件あたりの配送時間が数十秒短縮できれば、1日に何十~何百と配送するドライバーにとっては大きな時短効果につながるはずだ。ただドライバーからすれば、その分早く仕事が終わるのではなく、短縮できた時間にさらに追加の配送荷物が任されることになると思っておくのが正解だろう。

なお、Reutersの情報提供者は、このプロジェクトはまだ確実に実現されるという段階ではないと語っている。これを導入することで想定される目標が達成できるのか、製造コストが高すぎないかなど、様々な理由から、このARグラスの導入は棚上げされる可能性があるとのことだ。たとえば、ドライバーの稼働時間中ARグラスを稼働させ続けられる組み込みバッテリーや、長時間使い続けても疲労を感じないARグラスのデザインや軽量化にも課題が残る。

アマゾンはReutersに対し「配達員にとってさらに安全でより良いエクスペリエンスを生み出すため、継続的に革新を行っている」とだけ回答した。

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