ハイパーループの開発はまだ行われています

ハイパーループの1/12スケールモデルを使った真空走行最長記録が更新。原寸換算141.6km、EPFLが達成

Image:EPFL

スイスのスイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)、ヴォー州工業応用科学大学(HEIG-VD)、Swisspod Technologiesで構成されるLinear Induction Motor Drive for Traction and Levitation in Sustainable Hyperloop Systemsプロジェクト、略してLIMITLESSは、欧州初のハイパーループ試験施設で、真空ポッドの最長走行記録を達成した。

この試験走行では、EPFLの敷地内に建造された直径40cmのチューブを1周125.6mのリング状にしたテストコースを用い、内部を50ミリバールの低圧にしたうえで、磁気浮上させた1/12スケールのポッドを走行させた。その結果、走行距離は11.8km、最高時速は40.7kmに到達したとのことだ。

Image:EPFL

走行距離11.8km、最高時速40.7kmと言われてもそれほど大したではないようにも思えるが、これは1/12スケールであり、原寸大に換算すると、走行距離は141.6km、最高時速は488.2kmとなる。日本で建設中のリニア中央新幹線がこれまでに記録した最高速が時速505kmであったことを考えると、今回の実験で記録された速度がどれぐらい速いか想像できるだろう。

EPFLは、完全電気駆動の車両と、真空に近い低圧チューブ・インフラという2つの主要要素から構成されるハイパーループには、持続可能でありつつ、大陸の長距離移動を大きく変える可能性があると述べている。そしてこの実験の成功は、高速輸送の将来にとって重要な意味を持つと主張する。

EPFL・電力分散型システム研究室(DESL)のマリオ・パオローネ教授は「LIMITLESSプロジェクトは、ハイパーループ・カプセルの高速電磁推進に関連するいくつかの基本的な側面を理解するのに役立ち、この知識を活用することで、浮上機能と推進機能をひとつのモーターに統合、エネルギー変換効率を非常に高くすることが可能になった」と述べた。

ちなみに、低圧チューブ内を走行する磁気浮上車両の最高速記録に関しては、数か月前に中国航天科技集団(CASIC)が時速623kmを達成したと発表している。

関連キーワード: