アップルとサプライヤーとで価格の折り合いが難航
有機EL版MacBook Airの発売、2027年以降へ大幅にずれ込む可能性
アップルはiPad Proを皮切りにディスプレイ搭載製品の有機ELへの移行を進める方針であり、2026年にはMacBook Pro、翌年にはMacBook Airが対象になると予想されていた。
だが、有機EL版MacBook Airの発売は、2027年以降へ大幅にずれ込む可能性があるとの噂が報じられている。
韓国の電子業界誌The Elecの情報筋によると、有機EL版MacBook Air用の部品開発スケジュールは延期され、製品の発売も遅れるに違いないという。その主な理由は、価格の高騰とサプライチェーンだと指摘している。
MacBook Airは、Macラインアップの中でも最も人気が高いモデルだと見られている。2024年第1四半期に、米国PC市場におけるアップルのシェアは約22%増加したとの調査結果もあるが、これはM3 MacBook Airの発売が影響している可能性が高い。
しかし、今回の記事では、有機EL版iPad Proの売れ行きが期待外れだったことが強調されている。本製品は発売直後こそ好調だったが、数か月を経て急激に落ち込んでいた。
有機EL版iPad Proは、前世代よりも(米ドル価格でさえ)少なからず値上げされている。匿名の業界関係者は、ディスプレイを液晶から有機ELに切り替えるだけでは、消費者にとって値上げを正当化するほどの魅力にはならないと示した、と述べている。
もう1つの要因であるサプライチェーンでの問題は、アップルと有機ELパネル製造企業との価格の折り合いがつかないことだ。
アップルは現在、MacBook Air向け有機ELパネルの価格引き下げを求めているという。同社は複数のサプライヤーを競い合わせて価格を下げることを常としているが、iPad Proにパネルを供給したのはサムスンディスプレイとLGディスプレイの2社のみ。2026年に発売が噂される有機EL版MacBook Proでも、現時点ではサムスンのみ納入予定とのこと。つまり、アップルの交渉力はさほど強くないわけだ。
有機EL版MacBook Airのディスプレイは、iPad Proのように2つの発光層を備えたツースタック・タンデム方式とは異なり、より簡素なシングルスタック方式になる可能性が高いとのこと。ただし、ガラス基板と薄膜封止を組み合わせたハイブリッド技術(有機ELパネルを大型化すると発生しやすい画面の反りを解消する)を使う点は同じだという。
業界の情報筋は、アップルと有機パネルのサプライヤーは、価格上昇を最小限に抑えながら、低価格のAir製品向け有機ELの性能をProにできるだけ近づけられる、ある種の「妥協点」を見出す必要があると述べている。
MacBook Airが液晶から有機ELにシフトすれば、ディスプレイ輝度の向上、より深みのある黒(発光素子そのものを消灯できる)による高いコントラスト比、消費電力の削減によるバッテリー駆動時間の向上、そしてバックライトが不要となるため「薄く、軽く」が追求しやすくなるだろう。
もっとも、それら長所がコストパフォーマンスが高い=値段が安いことで人気あるMacBook Airの大幅な値上げに繋がっては元も子もなさそうだ。