Windows Serverのライセンス料をめぐり対立

マイクロソフト、Googleが自社のクラウド事業を貶める「影のキャンペーン」を展開と非難

Image:kovop/Shutterstock

マイクロソフトは、Googleが自社のクラウド事業を貶める「影のキャンペーン」を展開していると非難する声明を発表した。同社の副社長兼次席法務顧問のリマ・アライリー氏はブログ記事にて、Googleが今週、新たな「Astroturf」(見せかけの草の根運動)グループを立ち上げようとしていると主張している。

ブログ記事によると、Googleはロビー活動会社を雇い、小規模なクラウドプロバイダーを表向きの顔として自社の関与を隠蔽し、マイクロソフトのクラウド事業を弱体化させるべく中小キャンペーンを展開する予定だという。

「Googleは、その関与、資金提供、管理をわかりにくくする」ために多大な労力を費やしており、グループ発足後はリーダーではなく“backseat member”(車の後部座席に座る人、表向きはハンドルを握らないが影響力を持っている立場)として名乗りを上げる可能性が高いとのことだ。

この情報は、匿名のクラウドプロバイダーがグループへの参加を断り、マイクロソフトに密告したことで知ったようだ。さらに「このグループはGoogleが主導し、大部分の資金提供も行うもので、EUおよび英国におけるマイクロソフトのクラウドコンピューティング事業を攻撃することが目的だ」と伝えられたと述べている。

この動きは、Googleが9月、EUの規制当局にマイクロソフトが独禁法に違反していると提訴したことに続くものだ。同社はマイクロソフトがWindows Serverなどのソフトウェアを他のクラウドサービスで使う際には高額な料金を請求し、自社のAzureサービスの価格を低く抑えていると非難していた。

マイクロソフトの声明に戻ると、Googleが7月に同社とCISPE(欧州のクラウドインフラストラクチャサービスプロバイダーを代表する組織)との和解を妨害しようとしたとも主張している。和解案を拒否して訴訟を継続すれば、見返りに「現金とクレジットを合わせて5億ドルという破格の金額を提示した」とのことだ。

なおCISPEは最終的に、マイクロソフトがEUのクラウドプロバイダーに同社のアプリとサービスを現地のクラウドインフラ上で提供することを許可したことを受け、2022年に行ったEUへの提訴を取り下げることで合意している。

この件につき、Google広報はThe Vergeに対し、Windows Serverのライセンス料につきマイクロソフトへの非難を繰り返している。「マイクロソフトの反競争的行為は顧客を囲い込み、サイバーセキュリティ、イノベーション、選択肢に影響を及ぼすマイナスの波及効果を生み出すと、弊社をはじめ多くの企業が考えている」とのことだ。

アライリー氏もライセンス料に言及しつつ、顧客が同じソフトウェアを異なるサーバー上で使う際に別料金を支払うことを、視聴者がすでに映画を購入済みの場合でもNetflixやDisney+などストリーミングサービスに料金を払うことになぞらえている。

「たとえ、その映画のDVDをユーザーが所有していても、クレジットや割引は受けられない。ソフトウェアやクラウドも同じことだ」という。マイクロソフトとGoogleは、当分は平行線をたどりつつ、熾烈な争いを繰り広げそうである。

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