ディスプレイ・コントローラー最適化のおかげ?
新型iPad mini、iFixitが分解。ゼリースクロール解消ながらもハードウェアに変更なし
先日発売された第7世代iPad mini(以下、iPad mini 7)は、前モデルの「ゼリースクロール」が解消すると噂され、実際に入手した人々から事実だったとの声も上がっていた。
おそらく、ハードウェアの設計が変更されたためと推測されていた。だが、修理業者iFixitが分解したところ、そのようなハードウェアの変更はないと明らかになった。
ゼリースクロールとは、iPad miniをタテ置きにした場合、ウェブページなどを高速にスクロールすると文字や画像が斜めに傾き、ゼリーのように揺れて見える現象である。これは、画面の左側と右側とでリフレッシュのタイミングがずれるために生じるものだ。
この現象に対する反応はまちまちで、一度気づくと不快でたまらない人もいれば、全く気に留めない人もいる。前モデルが発売されてから3年間にわたり苦情も上がっていたが、アップルは「液晶画面の正常な動作だ」と回答しており、修理も交換対応もしていない。
著名リーカーの「刹那数码」氏は、次期iPad miniでは「組み立て方向の変更」によりゼリースクロールが軽減されると述べていた。第6世代では本体をタテ置きした場合にディスプレイ・コントローラーが垂直となるため、画面左右の更新タイミングがずれることから、コントローラーを回転させると示唆していたわけだ。
しかしiFixitによると、iPad mini 7のディスプレイ・コントローラー配置は前モデルと変わっていないという。そしてアップルが正体不明の「トリック」を施したと結論づけており、どこが改良されたかを突き止められていない。
深まるばかりの謎につき、イタリアのアップル関連情報サイトMac Storiesは、ディスプレイのハードウェアに修正はなく、ディスプレイコントローラーが最適化によると報告している。
すなわち「パネル全体が同じ速度で更新されるように最適化されたディスプレイコントローラーが使われている。このため、リフレッシュレート、色域、ピクセル密度、明るさが2世代間で同じディスプレイであっても、新型iPad miniは、画面の片側がもう一方よりも速く更新されるわけではない」とのことだ。
さてiFixitの分解報告に戻ると、iPad mini 7の背面にあるアップルロゴは取り外し可能になっていることが明らかとなった。それ以外は、前モデルと内部設計はほぼ同じである。
そもそも搭載チップであるA17 Proも、iPhone 15 ProのものよりGPUコアが1つ減らされており、ビニング版(品質が基準を満たさないチップを、一部機能を無効化して再利用する)の可能性がある。総じてコストダウンを図る努力が見てとれるだけに、ディスプレイコントローラーを回転させるなど、組み立て工程も変更を避けたのかもしれない。
- Source: iFixit(YouTube) Mac Stories
- via: 9to5Mac