ティム・クックCEOも「大衆向け製品とは言えない」と認める

Apple Vision Pro、生産縮小か。「十分な在庫が蓄積」との証言

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アップルの空間コンピュータ(MRヘッドセット)「Apple Vision Proに」につき、部品製造にかかわる「複数の関係者」が、ここ数カ月の間に生産計画が縮小されたとニュースメディアThe Informationの取材で語っている。

これは先週末、同社のティム・クックCEOがThe Wall Street Journaのインタビューに応じたことに続くものだ。同氏はVision Proにつき「もちろん、もっと多く売りたい」と言いつつ「3500ドルという価格は大衆向け製品とは言えない」と認めていた。

今回のThe Information報道によると、アップルは「当面の需要を満たすのに十分な在庫が貯まっている」と判断したという。同社のサプライヤーは「約60万台のヘッドセットに十分なコンポーネント」を製造済みとのことだが、これは「2024年年内の販売台数は50万台に満たない」という調査会社IDCの予想とも一致している。

さらにアップルの組立パートナー企業Luxshareは、11月にVision Proの製造を「縮小する必要があるかもしれない」と告げられたという。Luxshareの製造は「ピーク時の1日当たり約2000台から、1日当たり約1000台」に減っているとのこと。昨年の製造開始から、合計で「50万~60万台のヘッドセット」を組み立てたそうだ。

そして従業員の一人は、「5月にはVision Proコンポーネントの生産を停止し、倉庫は数万個の未納入の部品でいっぱいのままだ」と語っている。

数か月前、The InformationはアップルがVison Pro後継となるハイエンドモデルの開発を一時中止し、廉価モデルに専念していると報じていた

その詳細につき複数の情報筋が伝えており、ディスプレイの解像度は半分以下、ユーザーの目を外側に映すEyesightは廃止、プロセッサーの性能も落とすなど、様々なコストダウンが図られているようだ。

Vision Proの販売不振に最も落胆しているのは、MRヘッドセットで競合するMetaかもしれない。アップルという超大手の参入によりメタバース市場の再活性化を期待したものの、その後にVision Pro対抗のハイエンド製品を開発中止したと報じられていた