通信はインテルサットの他の衛星で代用されます
インテルサットの通信衛星が軌道上で分解、数十もの破片が散る
米インテルサットは、10月19日に何らかの異常が発生して機能停止した同社の通信衛星「IS-33e」が、「完全に失われた」ことを21日に発表した。
この衛星はボーイングが製造し欧州、アジア、アフリカ諸国への通信を提供すべく2016年に打ち上げられたものだった。インテルサットはボーイングや政府機関と連携し、情報を分析する障害検討委員会を立ち上げて対応に当たっている。
ボーイングといえば、ここ数年旅客機の「737MAX」墜落事故に始まる一連の問題が詐欺事件としての告発にまで至る一方、数年間の延期の末にようやく有人飛行試験を実施した宇宙船「CST-100 Starliner」が、国際宇宙ステーション(ISS)に到着するまでに複数のトラブルに見舞われ、安全面を考慮して地上へは無人で帰還することになるなど、その技術力や信頼性にも疑問の目が向けられつつある。さらに今週には、賃金などの待遇改善を求めて従業員がストライキに突入したことが報じられている。
そんななかでの人工衛星の分解は、ボーイングとってはさらに困難な出来事と言えそうだ。
軌道上で分解したIS-33eに関して、米国宇宙軍は約20個の破片を認識、追跡していると発表した。また、衛星追跡企業のExoAnalytic Solutionsは、衛星からのものと思われる57個のデブリについて監視を継続していると述べた。ただし、衛星から発生したデブリの正確な数はわかっていない。
ちなみにIA-33eは打ち上げ当初、スラスターの不具合が発生、目標とする軌道への到達が遅れる問題を生じた。さらに2017年には別のスラスターの故障で、約15年とされた耐用年数が3年半ほど短縮されてもいた。
だが、今回なぜこの衛星が分解したのか、その原因はまだ明らかにされていない。
ボーイング製人工衛星に致命的な不具合が発生したのは今回が初めてではなく、2019年にはまだ打ち上げから3年しか経過していない「IS-29e」が、推進剤漏れを起こして軌道を維持できなくなり、その機能が「完全に失われ」てしまった事例があった。