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尻から酸素「腸呼吸」、年内にも臨床試験へ。呼吸不全改善に

Image:bqmeng/Shutterstock.com

東京医科歯科大、名古屋大、京都大などからなる研究グループは今年5月、腸から酸素を取り込んで呼吸する「腸呼吸」に関する論文を発表。新型コロナ感染などで呼吸困難に陥った患者が、身体的負担の大きい人工呼吸器を使わずに呼吸不全を改善できる可能性があることを示した。

研究グループは当初、ドジョウなどが水中で長く息を止めるために腸で呼吸できることを知り、また哺乳類は血流の多い直腸で多くの栄養素を取り込める仕組みであることから、マウスやブタを使って、高濃度の酸素を含む液体やガスを肛門から注入し、腸内で液体と共に酸素を血液中に取り込めることを確認した。

このブタに関する研究は、この8月中にも新たに、米国の医学誌に投稿される予定となっている。そして新たな研究では、ブタにおける研究結果から、生理学的また遺伝学的に近い人間でも、腸呼吸が可能になるとの研究結果も出ているとのこと。

Image:Tokyo Medical and Dental University

尻から酸素を入れて呼吸するという見出しはセンセーショナルで、論文の発表時も一部で話題になったようだが、その研究内容はそれほど奇をてらったものではない。

着想のもとになったドジョウも、研究によればその腸は、組織レベルで呼吸用としても機能できるような構造となっていることが判明している。マウスを使った研究でも、酸欠状態のマウスの腸にガスや酸素を多く含む液体を送り込み、一時的に低酸素状態を脱することができたことを確認した。この研究結果は昨年、医学誌の『Med』に掲載された。

この研究と前後して、世界では新型コロナウイルスがパンデミックになった。重症化した患者は肺炎を引き起こして呼吸困難に陥り、身体的負担の大きな人工呼吸器やECMO(体外式膜型人工肺)と呼ばれる装置が必要になるものの、機器や必要な人員が不足する事態が各地で発生した。

こういった症状に対して、研究チームはこの腸呼吸が役に立つのではないかと考えた。マウスの実験では、腸からの酸素取り込みをしやすくするために腸の粘膜層を取り払って実験をしたが、人の場合はそれが負担にもなる。そこで腸内に供給するのは液体とし、特に酸素を大量に溶かし込めるパーフルオロカーボン(ペルフルオロデカリン)とよばれる物質を使用することにした。

なにやら聞き慣れない名前に不安を覚える人もいるかもしれないが、この物質は酸素輸液用の代替血液として実用化が期待される、フルオゾールの主成分でもある。そして、その結果はマウスだけでなく、ラットや豚でも良好だった。

ただ、Interesting Engineeringは、たとえマウスや豚で結果が良好だったとしても、人間でどこまで有効に作用するかはわからないとの専門家の意見も伝えている。そして研究チームが今年の早い段階で呼吸不全の人を対象とした臨床試験を開始する予定だと報じている。

研究者らは臨床試験に先立って、まずこの方法の安全性を確認し、それから呼吸器系の疾患を持つ患者を集め、検証のための試験を行う予定とのことだ。

うまくいけば腸呼吸は、呼吸不全の患者が人手も手間もかかる人工呼吸器を装着するまでの応急的な措置として、また患者の負担を少なくする観点からも、有望な処置方法となるかもしれない。

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