遠隔操作を認めてしまったOptimusもいた模様

テスラ「We, Robot」イベントに登場したOptimusロボット、一部は人による遠隔操作だった?

Image:Tesla

先週、テスラは「We, Robot」イベントを開催し、サイバーキャブこと自動運転の「ロボタクシー」と、シャトルバスなどの用途に適していそうな自動運転バン「ロボバン」を発表した。

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イーロン・マスク氏は、2027年には3万ドルを切る価格のロボタクシーを発売すると述べているが、ハンドルもペダルもない完全自動運転車を一般の公道上で走らせるには、規制当局から必要な承認を得なければならない。また発表された2つのクルマは、主要諸元などがほとんど語られなかった。

このイベントでは、テスラが開発中のヒューマノイド「Optimus」が多数登場し、飲み物やクッキーの入った袋を振る舞い、ダンスを踊るなどしてゲストをもてなしていた。

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驚くことに、Optimusはゲストから話しかけられると、流暢な言葉で答え、会話をすることができた。どうやら、その会話能力はマスク氏のAI企業xAIのチャットボットGrokによって提供されているようだった。少なくとも、会場に招かれた熱心なテスラファンや投資家の多くはそう考えていたようだ。

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しかし、BloombergやThe Vergeが伝えるところでは、Optimusロボットの一部はオペレーターが遠隔から操作していたと伝えている。その根拠には、Optimusの声が1体1体異なっており(なかにはスペイン語なまりもいた)、ゲストとのコミュニケーションやリアクションにも、ほとんどタイムラグがなかったことが挙げられている。モルガン・スタンレーのアナリストであるアダム・ジョナス氏も、当日の様子を報告した文書に、Optimusは「遠隔操作に頼っていた」と記している。

Bloombergは、情報筋から得た話として、イベント会場に歩いて現れたOptimusはAI制御で自律的に歩行ができたが、コミュニケーションをとる役割のOptimusは遠隔からテスラの従業員が状況を監視し、操作していたという。少なくとも、ゲストにドリンクを提供していたOptimusの1体は、ゲストに遠隔操作かと尋ねられ、「人間のアシスト」を受けていると返答していた。

イベント後の投資家たちは、発表の様子を見てサイバーキャブやOptimusがマスク氏の言う予定時期に市場に投入される可能性は低いとみたようだ。金曜日のテスラの株価は11%も下落し、年初来で12%、過去12か月間では17%の下落となった。

とはいえ、Optimusの様子を見て感銘を受けたアナリストもいたようだ。Canaccord GenuityのGeorge Gianarikas氏は、「(テスラの)ロボットの器用さや開発の進み具合は桁外れなものだ」と述べ、確立したサプライチェーンがないロボット分野において、「テスラは、開発製造に必要なリソースのほとんど社内に持っており、長期的には垂直統合型の巨大ロボット企業になり得る可能性がある」としている。

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