「お手頃価格」とは言い難いかも

Apple Vision、廉価版が約30万円に?EyeSightは廃止/A18 Pro搭載の可能性あり

Image:JLStock/Shutterstock

アップルの空間コンピュータ・MRヘッド「Apple Vision Pro」は高性能だが高価すぎるため、普及させるべく“廉価版モデル”を準備中だと以前から噂されてきた。このデバイスが早ければ2025年にも発売予定であり、価格は2000ドル(約30万円)になると著名ジャーナリストが予想している。

同社の内部情報に詳しいBloombergのMark Gurman記者は、Vision製品グループが少なくとも4つの新型デバイス開発に取り組んでおり、うちVision Pro廉価モデルを最優先しているとの趣旨を述べている。初代Vision Proは「重すぎ、高価すぎ、手触りが熱すぎ」るため“ニッチ製品”に留まると見切られているようだ。

アップルが第2世代Vision Proの開発を一時棚上げしておき、もっか廉価版に注力していることは6月にもThe Informationが報じていたことだ。

Gurman氏によると、廉価版ヘッドセットには「おそらく性能の劣るプロセッサーと安価な材料」が使われるという。現在Vision Proには「M2チップ」が搭載されているが、iPhone用の“Aシリーズ”チップを採用するかもしれない。最新の「A18 Pro」であれば、M1チップとほぼ同等の速度を実現できるだろう。

また、Vision Proで注目された「EyeSight」機能も削除される可能性が高いという。この機能は有機ELディスプレイとレンチキュラーレンズを組み合わせ、ユーザーの目を外側に拡大表示し、周囲の人々が見られるようにするものだ。外の世界との繋がりを断つようなヘッドセットの印象を変える仕組みだが、室内で1人で使う分には有用性がなく、コスト削減の対象となりやすいのだろう。

アップルは廉価版VisionヘッドセットがVision Proの少なくとも倍は売れると予想しているとのこと。その一方で、より高速なチップを積んだ第2世代Vision Proも開発中であり、2026年発売に向けて順調に進行しているようだ。

今回の記事では、Vison製品グループがRay-Ban Metaと同等のスマートグラスや、カメラ付きAirPodsを開発中との主張を再確認している。前者はディスプレイを内蔵せずカメラやスピーカー、健康センサーのみの簡易版であり、後者は「低解像度のカメラセンサーを搭載」というものだ。

廉価版Vision Proの2000ドルという予想価格は、一般的な感覚では安価とは言い難い。世界に変革をもたらすという意味では、簡易版スマートグラスの方がインパクトは大きそうではある。

関連キーワード: