Googleは米国のイノベーションを阻害すると反論
米司法省、独禁法訴訟でGoogleの分割を検討か。ブラウザやAndroid事業売却を求める可能性
米司法省は、Googleが検索エンジン市場を独占しており、反トラスト法(独占禁止法)に違反しているとの裁判を継続中である。この違法な独占を終わらせるため、同省がGoogleにChromeブラウザやAndroid OSなど一部事業の売却を命じるよう裁判所に求める可能性があると複数の大手メディアが報じている。
今年8月、連邦地裁のアミット・メータ判事はGoogleが反トラスト法に違反しているとの判決を下した。司法省は11月20日までに具体的な是正案を提出し、Google側も12月20日までに自ら是正案を提案できる。裁判所はそれらを受けて、2025年に最終的な是正命令を下す見通しである。
この流れにおいて、司法省は連邦地裁に対して、様々な選択肢を提示した32ページの是正案を提出。そこでは独占状態を解消するための「あらゆる手段」を検討しているとして、次の4つの分野における是正を求めている。
- 検索の配信:(iOS等の)デフォルト検索エンジン契約、プリインストール、収益分配契約を制限または排除する。ChromeブラウザやGoogle Play、AndroidをGoogleから分離する構造的救済策を検討する
- データへのアクセスと利用:Googleの検索インデックス、データ、アルゴリズム、AIモデルの共有を義務付ける。検索結果、機能、広告ランキングシグナル(ランキングシステムに入力される要素)の透明性を求める。プライバシー上の懸念から共有不可のデータを活用することをGoogleに禁止する
- 検索独占の拡大:Googleが契約により競合他社のウェブコンテンツへのアクセスを妨害することを制限し、パブリッシャーのウェブサイトがAIの訓練やAI要約などGoogle所有のAI製品への表示をオプトアウト可能にする
- 広告慣行:AI駆動型ツールを含むGoogleの高度な広告製品を縮小または再構築する。Googleの広告フィードを検索結果とは別にライセンス供与するオプションを検討する。広告主に対して透明性を高め、オークションおよび収益化の詳細なデータを提供する
ほか司法省は、AIベースのツールなど、現時点では収益源として小さなものも対象とすべき理由も説明している。是正命令は「独占を維持する代わりの手段や将来の形態も考慮に入れるべき」であり、「これらの市場をGoogleの排他的行為から解放し、競争への障壁を取り除き、Googleに法令違反の成果を否定する」ものになるべきだという。
この報道に対し、Googleはブログ記事で反論を表明。司法省の提案が「過激かつ広範囲にわたる」として、米国のイノベーションと消費者にとって「予期せぬ負の影響」をもたらす可能性があると主張。そして自社からChromeやAndroidを切り離すとスマートフォンの低コストやテレビ、ノートPCなど「他の多くのものが崩壊する」と警告している。
- Source: The Wall Street Journal TechCrunch