普及のためにコスト削減が最優先

「Apple Vision Pro」廉価モデルは画面解像度が半分以下?ディスプレイはJDIが供給か

Image:Ringo Chiu/shutterstock.com

アップルは空間コンピュータ「Apple Vision Pro」の廉価モデルを開発中と噂されている。いわば「Apple Vision」となるが、その画面解像度が現行モデルの約半分になる可能性が浮上している。

韓国の電子業界誌The Elecによると、最近アップルは日本のジャパンディスプレイ(JDI)から、Vision ProのようなMR(複合現実)デバイス向けディスプレイのサンプルを受け取ったという。その表示密度は約1500ppiのため、廉価モデルを想定している可能性が高いとのことだ。Vision Pro搭載ディスプレイは3391ppiであり、半分以下となる。

そして高精細なディスプレイこそが、Vision Proを非常に高価にしている主な理由の1つである。ソニー製の4K OLEDディスプレイはコストが約228ドル×2=456ドル程度に上り、製造コストの約4分1を占めているとみられている。

その解像度は合計で3360×3200であり、表示密度はiPhone 15 Proのピクセル1個分のスペースに50個が収まるほどだ。過剰にも思える数値だが、超低遅延表示を実現するため重要な技術でもある。

当初アップルは、次期ハイエンドモデルの開発を進めていたが、6月には廉価モデルを優先するためそちらを一時棚上げしたと報じられていた。Vision製品がニッチ市場から抜け出すには、1500ドル前後まで価格を下げることが必須だとみられている。

1つの可能性としては、プロセッサーの能力を落とし、代わりにiPhoneやMacなどの母艦と接続して使うというアプローチもありうる。が、それではスタンドアローン性が失われてしまうため、ディスプレイのコスト削減を選んだ可能性がある。

今回JDIが提供したのは、ガラス基板ベースのOLEDパネルだったという。Vision ProのディスプレイはOLEDoS、すなわちシリコン基板であり、それよりコストと共に性能も落ちるはずだ。数か月前、アップルはサムスンやLGに1700ppiのOLEDoS開発を依頼する情報提供依頼を送っていたと伝えられていたが、さらに仕様を引き下げたのかもしれない。

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