AIの反乱描く、おなじみ『ターミネーター』の生みの親
映画監督のジェームズ・キャメロン、Stability AI取締役に就任
画像生成AIのStable Diffusionで知られるStabillity AIは、映画監督のジェームズ・キャメロン氏が同社の取締役に就任したと発表した。
キャメロン監督と言えば、『ターミネーター』『アバター』『タイタニック』『アビス』など、その製作年代における最高の技術を効果的に用いた映像作りで高い評価を得ている。
特にAIに関しては、キャメロン監督が『ターミネーター』の世界観として持ち込んだ「AIが人類に反乱を起こし、世界を支配する」というテーマが、いまや半ば現実になりつつあると言っても過言ではない状況になりつつある。米カリフォルニア州では8月末に「最先端AIシステムのための安全で安心なイノベーション法案」が可決され、人類存亡を引き起こすかもしれないAIシステムを規制しようとする試みの第一歩になった。
キャメロン監督も2023年のテレビ局のインタビューでAIの危険性について質問されたときには「私は1984年に皆に警告したが、誰も現実に起こるとは考えなかった。AIが兵器化されることが最大の危機だと思う。もしわれわれがAIを開発しなければ、必ず他の誰かがやるだろうし、そうなれば競争はエスカレートするだろう」と発言していた。
Stability AIのプレム・アカラジュCEOは、WETA Digitalと称する視覚効果企業のCEOを務めた経歴がある。またStability AIには、元Facebookの社長でNapsterの創業者でもあるショーン・パーカー氏も取締役会長として加わっている。
キャメロン監督はStability AIへ関わることについて「私は30年以上前からずっとCGI制作の最前線を走り続けてきた。そしていま、生成AIとCGI画像作成が出会い、次の波を起こそうとしている。これら2つのまったく異なるエンジンが融合することで、アーティストはこれまで想像もできなかった方法を使って、物語を語る新たな方法を解き放つだろう。Stability AIはこの変革をリードする態勢を整えている」と語った。
生成AI技術とハリウッドの関係は、昨年の米映画俳優組合およびテレビ・ラジオ芸術家連盟(SAG-AFTRA)のストライキにみられるように、必ずしも良好なわけではない。だが、一部では少しずつながらこの技術を受け入れる動きもある。たとえば制作会社のライオンズゲートは、生成AI開発企業のRunwayと、映画制作向けのカスタムAIモデルを作る契約を結んだ。3月には、OpenAIが動画生成AIモデルのSoraを各スタジオに積極に売り込んでいるとも伝えられた。
アカラジュCEOとパーカー氏が合流した今年はじめ、Stability AIは8000万ドルの資金調達も行った。そしてStable Diffusionは合計1億5000万ダウンロードを突破したとされている。数千に上る顧客企業には大手企業も含まれ、クリエイティブなワークフローの一部にStability AIのモデルを使用しているという。
- Source: Stability AI
- via: Hollywood Reporter Ars Technica