初代iPhoneにヒントを得たとか得ないとか

元アップルのジョニー・アイブ、OpenAIとAIハードウェア開発プロジェクトに取り組み中と明かす

Image:Anton_Ivanov / Shutterstock

元アップルのチーフデザイナー、ジョニー・アイブ氏は、OpenAIのサム・アルトマン氏と共に、野心的なAIハードウェアを開発するプロジェクトに取り組んでいることを認めた。

1年程前より何度か、アイブ氏はアルトマン氏と何やら準備をしているようだと報じられてきたが、今回New York Timesが掲載したインタビューで、アイブ氏はそれがOpenAIの大規模言語モデル(LLM)を使用するハードウェアであることを明かした。

ただ、このプロジェクトについて詳しいことはほとんどわかっていない。このプロジェクトは現在、アイブ氏本人からの資金と、スティーブ・ジョブズの妻ローレン・パウエル・ジョブズ氏が設立した投資会社Emerson Colllectiveからの資金によって、わずか10人のメンバーで活動している。ただ、そのメンバーにはアイブ氏のチームで働き、その後アップルのデザイン部門を率いたエバンス・ハンキー氏およびタン・タン氏が含まれているという。

またNew Yotk Timesは、年内にプロジェクトが10億ドルを調達する可能性があると伝えている。なお、ソフトバンクの孫正義氏は昨年、このプロジェクトに10億ドルを投資したと報じられているが、記事中ではそのことには触れていない。

ちなみに、このAIハードウェアのデザインはアイブ氏の会社であるLoveFormが主導しており、初代iPhoneからヒントを得たタッチスクリーンを備えるものになる可能性が、これまでに報じられている。

Image:LoveFrom

ただ、アイブ氏は今作っているものはスマートフォンに似たものではないとも述べており、どのようなものになるのかが気になるところだ。

なお、タッチスクリーン付きのAIハードウェアと言えば、発表時に注目されはしたものの、商業的に成功したとは言えなかった「Rabbit R1」や「Humane AI Pin」が記憶に新しい。Rabbit R1は、携帯電話の代替デバイスとして売り出され、Humane AI Pinは人の第二の脳というふれ込みで登場したものの、いずれも機能的に不完全なままリリースされ、期待されていたほど、また欲しいと思わせるほどの便利さをユーザーに提供できたとは言えない。

今回のアイブ氏とアルトマン氏のプロジェクトは、両氏の知名度が絶大なだけに期待値も高くなるのは必至。AIは何に使えるのか、AIを使えばどんなことがどれぐらい便利になるのかという問いへの模範解答を示してくれることに期待したい。

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