【防災月間】ポータブル電源特集

約56分でフル充電! EcoFlow「DELTA 3 Plus」は魅力的なポータブル電源だ

安蔵靖志

地震や台風被害など数々の災害に見舞われる日本では、防災意識を高めて災害時の備えを怠らないことが重要になる。特に停電時の電源対策として注目を集めるのだ、ポータブル電源だ。

そして、世界中で人気のポータブル電源メーカーであるEcoFlowから新製品「DELTA 3 Plus」が登場した。防災はもちろん、日常使いやアウトドアユースなどでの使い勝手はどうなのか、実際に試してレポートしたい。

EcoFlowが2024年9月1日に発売した「DELTA 3 Plus」

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災害時の備えとして注目度が高まるポータブル電源

地震や台風などの大規模災害が発生すると、幅広い地域に渡って停電や断水が生じることがある。世界でも有数の災害大国である日本において、特に備えておきたい機器の一つがポータブル電源だろう。

最近ではテレビショッピングでも紹介されることが多くなっているし、筆者にもポータブル電源の選び方やおすすめ商品の紹介依頼が多くなっている。その注目度は、ここ1〜2年ほどで大きく上がっているように感じる。

東日本大震災が発生した直後、固定電話も携帯電話もつながらない状況下において安否を確認できる手段として注目されたのが、X(旧Twitter)などのSNS。停電時に照明などの家電製品はもちろんのこと、家族や友人と連絡を取り合うツールとして重要なスマホにも電力を供給できるポータブル電源は、まさに家庭の命綱になるというわけだ。

EcoFlowが2024年9月1日に発売した「DELTA 3 Plus」は、世界累積販売台数100万台以上を販売した「DELTA」シリーズの最新モデル。さまざまな家電を長時間にわたって使用できる定格容量1024Whの大容量モデルとしてヒットした「DELTA 2」の後継機種という位置付けになる。

従来モデルの「DELTA 2」(写真左)と最新モデルの「DELTA 3 Plus」(写真右)。DELTA 3 Plusは出力端子をすべて前面に搭載している
DELTA 2(写真左)は背面にAC出力端子を備えており、DELTA 3 Plus(写真右)は背面に外部バッテリー接続端子を備えている

99%以上の家電を使えるパワーと大容量に加えて、高速充電がさらに向上

ポータブル電源を選ぶ上で重要になるのが「定格出力」と「定格容量」、そして「重さとのバランス」。定格出力は出力端子に接続した家電などの機器に出力できる電圧のことで、DELTA 3 Plusのように1500Wあればほぼすべての家電製品を使用できる。

DELTA 3 Plusの定格容量は1024Whで、これは出力1000Wの家電製品なら1時間強、500Wなら2時間強使えることを表している。どちらも大きければ大きいほど使える機器や時間が増えるが、その分だけ重くなってしまうため、定格出力1500W、定格容量1000W前後のポータブル電源が人気というわけだ。

DELTAシリーズは、高速に充電できる「X-Stream機能」を搭載している。DELTA 3 PlusはDELTA 2よりもパワーアップし、満充電までの時間は、DELTA 3 Plusでは約56分にまで短縮された(DELTA 2は約80分)。また、内蔵バッテリーに「LiFePO4(40135)バッテリー」を採用し、初期容量の80%を維持できる充放電回数は、DELTA 2の約3000回に比べて約4000回と長寿命化した。

また、新たに大雨や台風予報に合わせて蓄電の状況をスマホに知らせてくれる「台風警報モード」を搭載。台風警報モードになるとUPS(無停電電源装置)停電リマインダーがバックアップ電源を起動し、緊急時に必要な家電に電力を供給するというもの。この機能はスマホ向け「EcoFlow」アプリ(Android/iOS対応)とDELTA 3 Plusを連携することで利用できる。

EcoFlowアプリの起動画面(左)、EcoFlowアプリで「Storm Guard」機能をオンにすると「台風警報モード」を利用できる(右)

不意の停電時でも照明や通信の電源を確保できる

では、実際に使ってみることにしよう。まずは停電時を想定し、電気スタンドとノートパソコン、スマホを使ってみた。電気スタンドを照明として使い、スマホのテザリング機能でWi-Fi環境を確保し、ノートパソコンを立ち上げる。筆者の場合、ノートパソコンと通信環境さえあれば仕事ができるので、この安心感は大きい。

筆者は以前、謎の大規模停電に見舞われたことがあった。その時は、スマホのテザリング機能とノートパソコンのバッテリーで乗り切ったが、照明はつかないため真っ暗な環境で仕事を続けた記憶がある。ポータブル電源があれば、こうした状況に陥ってもしばらく電源を確保できるため安心感がある。

LED照明とノートパソコン、スマホに給電しても38W程度だった

日常的な災害対策としては、UPS(無停電電源装置)機能も頼もしい。UPSとは、停電やブレーカー遮断などで電源供給がなくなった場合に、瞬時にバッテリーからの駆動に切り替えることで瞬断を防ぐというもの。デスクトップパソコンやサーバー、NAS(ネットワーク接続ストレージ)などの機器を接続しておくと、電源遮断時のトラブルを未然に防げる。

DELTA 3 PlusにNASを接続し、ファイルをコピーしている時にDELTA 3 Plusの電源ケーブルを抜いてみた。DELTA 3 Plusのディスプレイに表示される「INPUT」が0になったこと以外は何も変化はなく、スムーズにバッテリー駆動に切り替わることを確認できた。

DELTA 3 PlusにNASとノートパソコンを接続し、ファイルコピーを行った。スタート時点では「INPUT」(DELTA 3 Plusへの入力)が45Wと表示されている
DELTA 3 Plusの電源ケーブルをコンセントから抜いてINPUTが0Wになっても、相変わらずコピーが続いている

停電時はもちろんのこと、アウトドアでの使用も想定して、調理家電を使ってみた。調理家電は定格出力1000Wを超える製品が多いため、複数の調理家電を使うと定格出力1500Wをすぐに超えてしまうようにも思える。しかし、DELTA 3 Plusは定格出力を超えても使える「X-Boost」機能を搭載しており、お湯を沸かす程度の時間であれば問題なく使える。

IHクッキングヒーターで調理しながら電気ケトルでお湯を沸かしても大丈夫

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1時間弱でフル充電が可能!

いくら大容量で出力もパワフルとはいえ、1500Wのフルパワーで稼働したら40分ちょっとでバッテリーが切れてしまう。アウトドアなどで活用しつつ、災害時にもしっかり備えるためには、充電速度も重要な要素になる。そこで、高速充電機能の「X-Stream」を試してみることにした。

X-Streamの充電スピードは、EcoFlowアプリで設定できるようになっている。アプリの設定画面から「AC充電速度」を選ぶと、DELTA 3 Plusは最大1500Wまで設定できる。一方、従来モデルのDELTA 2は、最大1200Wまで。これがDELTA 2のAC充電時間が約80分だったのに対し、DELTA 3 Plusは約56分まで短縮されている理由となる。

DELTA 3 PlusのAC充電速度設定画面。最大1500Wまで設定できる(左)、DELTA 2は最大1200Wまで設定できるようになっている(右)

実際にDELTA 3 Plusのバッテリー残量を0Whまで使い、そこから急速充電を行ってみた。同じ部屋でエアコンを使っているためか、最大の1500Wまで到達することはなかったが、平均1280W程度で充電が進み、約57分で充電が完了した。

電源ケーブルを接続すると、少しずつワット数が上がっていき、平均1280W程度で充電が進んだ

従来モデルのDELTA 2も急速充電を試してみたところ、平均1180W程度で充電が進んだ。最大の1200Wに迫る勢いではあったものの、わずかに及ばない結果になった。

DELTA 2で充電してみたところ、平均1180W程度で充電が進んだ

災害時にはエクストラバッテリーやソーラーパネルが活躍

DELTA 3 Plusには定格容量1024Whの専用エクストラバッテリーがオプションとして用意されている。このエクストラバッテリーを専用ケーブルで接続することで容量を2倍に増やすことができる。

アウトドアでは本体のみで使いつつ、災害時用にエクストラバッテリーを備えておくといった使い分けも可能だ。さらに、2kWhの「DELTA 2 Maxエクストラバッテリー」、4kWhの「DELTA Pro 3エクストラバッテリー」にも対応しているので、より大容量が欲しい方はこちらと組み合わせるのも良さそうだ。

DELTA 3 Plusと専用エクストラバッテリー(写真左)を接続したところ

大規模災害で停電が続き、ポータブル電源の充電もままならないような非常時には、ソーラーパネルが役立つ。

EcoFlowでは小型の45Wタイプから大型の400Wタイプまで幅広いラインアップをそろえており、DELTA 3 Plusの場合は最大2枚のソーラーパネルを接続して充電できる。どれだけのパワーで充電できるかは、天候やソーラーパネルの角度調節によって変わるが、天気のいい日に外に持ち出すことでバッテリー容量を回復できるのはありがたい。

今回は「EcoFlow 160W片面ソーラーパネル」を組み合わせてテストした
ソーラーパネルから充電しつつ、パソコンやスマホ、タブレットなどさまざまな機器を一度に充電できる

天気のいい日に充電して日常使いすれば、電気代の節約にもつながる。そのため、災害用の備えとしてだけでなく、ぜひ普段から使い倒すことをおすすめしたい。DELTA 3 Plusは充放電回数4000回とかなり長寿命なため、1日1回充放電しても10年以上は優に使える。

ポータブル電源はメーカーも製品も数多くあるが、ELTA 3 Plusはパワーと容量、重さのバランスが良いだけでなく、アクセサリーも充実している。DELTA 3 Plusはかなり魅力的な製品だと感じたので、ポータブル電源選びの参考にしてみてほしい。

なお、ポータブル電源は、一般的な家電製品とは違って処分方法が自治体によって異なる。EcoFlowは自社で無料回収サービス「エコリサイクルサービス」を実施しており、回収したバッテリーのリサイクルを行い、限りある資源を有効活用できような仕組みを用意している。購入から処分まで全ライフサイクルを安心して使えるのも魅力の一つと言えるだろう。

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