セキュリティ研究者が暗号通貨との関連を指摘
モバイルゲーム『Flappy Bird』復活は暗号通貨絡みか。オリジナルの作者は「関与していない」
2013年にリリースされ、大ヒットしたモバイルゲーム『Flappy Bird』のオリジナル開発者であるDong Nguyen(Nguyễn Hà Đông)氏は、先頃リメイク作が開発中だと発表されたこのゲームについて、自身は関与しておらず、「リメイクされる彼らのゲームとは無関係であり、何も売っておらず、暗号通貨も支持していない」と述べた。
『Flappy Bird』は2013年5月にリリースされた。プレイヤーが画面タップで鳥のキャラを操作し、横スクロールで迫り来る緑のパイプの隙間を通過させるという単純なゲームだ。キャラクターの愛らしさや、単純でハマりやすいゲーム性が多くのプレイヤーを惹きつけ、大ヒットに至った。ただ、その単純さのためか、ほぼ同じゲーム性のクローンアプリが続々とリリースされることになってしまった。さらに障害物である土管が任天堂を代表するゲームである『スーパーマリオブラザーズ』のマップに登場する土管にそっくりであること、さらにこのゲームが先にリリースされていた『Piou Piou vs. Cactus』と呼ばれるゲームに似ていることを指摘する声もあがった。
2014年2月、作者のNguyen氏は批判を受けながらゲームを開発し続けることにストレスを感じ、この作品は自分にとっては成功作ではあるものの、かえって自身のシンプルな生活を台無しにしてしまったとツイート、その翌日には「もうたくさんだ」としてゲームをアプリストアから削除した。それ以後、このゲームに関するNguyen氏の活動はなく(リブート版を開発しようとしていたとの話もあるものの)、ツイートも2017年を最後に途絶えていた。
ところが先週、このゲームの新たな所有者であるかのような団体Flappy Bird Foundation Groupが、突然、2025年にこのゲームを再びリリースすると発表した。
実際のところ、この団体に関しては当初から謎の部分が多い。まず、2023年9月にGametech Holdingsと称する企業が『Flappy Bird』の商標権について取得申請を行った。Inverseが伝えるところでは、Gametechは、Nguyen氏が今後ゲームを開発しないと公言していたことを理由に商標は放棄されたと主張、実際にゲームを開発しないと公言していたため、裁判所は申請を認めてGametechに商標を与えた。
そして、Gametechは商標をThe Flappy Bird Foundationに売却している。このThe Flappy Bird Foundationの代表者は、「Deez」と呼ばれる独自のNFTブランドを持ち、「Web3.0時代の先駆者」を自称する1208 Productionsの代表者も務めるMichael Roberts氏だ。ちなみに、The Flappy Bird Foundationは『Piou Piou vs. Cactus』の商標権も取得している。
セキュリティ研究者のVarun Biniwale氏は、なぜいまこのゲームを(作者不在で)再び世に出そうとするするのかに疑問を持った。そして新しく作られたこのゲームのウェブサイトにどんな情報があるのかを調べてみた。と言っても特別な手法を使ったわけではなく、Googleで「site:flappybird.org」と検索し、ウェブサイト上にあるページをリストアップしただけだ。ただ、そのページの一つから「伝説の『Flappy Bird』が復活し、SolanaでWeb 3.0へ舞い上がる」との記述が見つかった。Solanaとは暗号通貨銘柄の一つの名前だ。さらにこの文の続きには「アーティスト、開発者、クリエイターは伝説の Flappy Birdの知的財産(IP)でビルド、プレイ、収益を得ることができる」と記されていた(このページはすでに非公開になっている)。
Biniwale氏はこれに関し「このプロジェクトの当初の計画は暗号通貨とWeb 3.0を中心に展開されていたと示唆しているようだ」とし、「こうした種類のプロジェクトを『詐欺』と呼ぶ人もいるかもしれない」と遠回しに指摘した。ただ、このゲームの復活が暗号通貨とWeb 3.0に何らかのつながりがあることは間違いないものの、それがいわゆる暗号通貨ポンジスキームと呼ばれる詐欺手口かどうかはわからないとしている。なお、Biniwale氏が発見したウェブページの中には、$FLAPと記された暗号通貨トークンを使うマイクロトランザクションが含まれているように見えるものもあったという。
冒頭に述べたように、『Flappy Bird』作者のNguyen氏は、The Flappy Bird Foundationとはまったく関係ないとしている。今回の復活に関して、ユーザーは完全に広告でサポートされていたオリジナルの『Flappy Bird』が、以前の形そのまま帰ってくるとは思わない方が良さそうな雰囲気だ。
- Source: Varun Biniwale
- via: Inverse AppleInsider