PS5 Pro、最大のゲームチェンジャーはAI超解像技術か。ゲーム映像の専門家が分析
ソニーはPlayStation 5の強化型モデル「PS5 Pro」を正式発表したが、米国では約700ドル、日本では11万9980円(税込)の高価格が物議を醸している。この価格に見合うほど、ゲームのビジュアルや体験が改善するかどうかに注目が集まっている次第だ。
まだ製品が発売されていないなか、唯一の手がかりがソニー公式の「PlayStation®5 Proテクニカルプレゼンテーション」ビデオだ。ここで紹介された各ゲームにつき、興味深い分析が提示されている。
これは、ゲーム映像の詳細な分析で知られるDigital Foundryのスタッフが、有料購読者限定のポッドキャスト「Weekly」にて語っていることだ。PS5 Proではゲームに修正パッチを当てなくてもビジュアルやパフォーマンスが向上するものの、ゲームごとに恩恵に大小の違いがあるとのことだ。
まず俎上に載せられたのが、『The Last of Us Part II』や『ラチェット&クランク パラレル・トラブル』といったファーストパーティーのゲームである。この2つは、AIによるアップスケーリング技術「PlayStation Spectral Super Resolution(PSSR)」により画質が向上し、より安定したパフォーマンスが実現されているという。
かたや『Horizon Forbidden West』は、よりディテールが細かくなっているものの、4K解像度には見えなかったので、おそらくPSSRを使用していない。『グランツーリスモ7』に関しては、通常モデルよりも低い解像度(1188p)で動作したものを、PSSRでアップスケールし、レイトレーシングなしでネイティブ4Kにしていると推測している。
かたやサードパーティ製タイトルについては、単純にハードの強化だけでは解像度の底上げができないものもあるようだ。
たとえば『Alan Wake 2』は、それぞれフレームレートターゲットを60fpsと30fpsとした2つのモードが紹介されているが、おそらくPSSRを使っているものの、通常モデルと同じ846pと1260pの解像度で動いている。とはいえ、30fpsモードではレイトレーシングが、60fpsモードではスクリーンスペースリフレクション(SSR/リアルな反射表現。濡れた床面や水溜まりをシミュレートする)が使われているとのことだ。
また『ホグワーツ・レガシー』では、レイトレーシングによる反射や、レイトレーシングによる影とSSRが混在している可能性もある。そして『ドラゴンズドグマ2』は、おそらくPSSRにより60fpsを実現しており、恩恵が大きいようだ。『アサシン クリード シャドウズ』も60fpsで動作しているようだが、解像度は846pと低く、おそらくPSSRを使って高解像度にアップスケールしていると見られている。
これらは、あくまでPS5 Proが発売される1か月以上前の初期の分析に過ぎない。それでも、PSSRはファーストパーティ製とサードパーティ製を問わず、幅広いタイトルで目に見える効果をあげており、真のゲームチェンジャーとなりそうだ。これに比べれば、PS5 Proの二本柱である「GPUのアップグレード」と「レイトレーシング機能の進化」は、それほどのインパクトはないかもしれない。