チップ開発や熱設計では「無駄を省きたい」

アップル、iPhone 16全機種にRAM 8GB搭載を認める

Image:Apple/YouTube

アップルは先週初めの「時が満ちる。」イベントにてiPhone 16シリーズを正式発表し、独自AI「Apple Intelligence」のために設計した最初のiPhoneだと宣伝していた。新たなインタビューにて、同社のハードウェア・テクノロジー担当上級副社長Johny Srouji氏は、iPhone 16シリーズ全機種に8GBのRAMを搭載していることを裏付けている。

昨年、アップルはiPhone 15/15 PlusにはRAM 6GB、iPhone 15 Pro/Pro Maxには8GB RAMを搭載していた。この違いがiPhone 15 ProモデルのみApple Intelligenceに対応し、iPhone 15標準モデルが非対応となった理由である。今年のiPhone 16シリーズは4モデル全てがApple Intelligenceを動かせると謳われている。

中国のテック系YouTubeチャンネルGeekerwanの取材を受けたSrouji氏は、RAM 8GBという数値を確認した。アップルは通常、この種のスペックを公にすることを避けているため、今回は異例のことだ。すでに開発ツールXcodeから手がかりは得られていたが、ようやく「公称値」として扱えることになる。

RAM増量につき、Srouji氏はApple Intelligenceが理由の1つとしつつ、他の面でも恩恵があると主張している。「ハイエンドゲーム、AAAタイトルのゲーム」など他のアプリにも「非常に役立つ」というわけだ。

では、これまでのiPhoneはなぜRAMを少なめに抑えてきたのか。Srouji氏いわく「我々の目標は、最高の製品を作り、最高のユーザー体験を提供することだ。Apple Intelligenceに関しては、DRAMは1つの側面だ。シリコン(訳注:チップ)であれ、ハードウェアであれ、ソフトウェアであれ、我々が開発しているものにつき、多くの点で無駄を省きたいと思っている」とのこと。

そんななか、新たに浮上した「有効にしたい非常に重要な機能」の1つがApple Intelligenceだったという。処理能力やメモリ帯域幅、メモリ容量につき、様々な構成を検討し、何が最も理にかなっているか検討した末に「最終的に8GBが我々にとって最も完璧な選択だった」と語っている。

またGeekerwanは、Appleシリコン(独自開発チップ)が、なぜ競合他社のようにコア数を増やすことに注力しないかと質問している。実際、最新のA18/A18 ProともにCPUコア数は6つであり、Android向けハイエンドチップSnapdragon 8 Gen 3の8コアよりも少ない。

これに対してSrouji氏は「わが社の全シリコンのシングルスレッド性能コアを見ると、業界最高だ。我々は業界をリードしている。高効率コアを見ても同じで、我々は絶対的なベストを尽くしている」とコメントしている。

そしてiPhoneやiPad、Macに搭載するチップの構成についても「製品のバッテリー容量、電力供給システム、熱設計などを考慮する。なぜなら過剰設計は無駄になるから」とのこと。その上で、iPhone向けにはP4E=高性能コア×2+高効率コア×4が必要なニーズを満たすとの結論に達したという。

ほかSrouji氏はiPhone 16シリーズの熱設計やAppleシリコン開発の過程など、数々の興味深いことを語っている。詳細を知りたい方は、下記のYouTube動画をチェックするといいだろう。

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