かつてはJDIとシャープの合計で約2億枚の液晶を供給

「iPhone SE 4」、有機ELへの完全移行で日本の液晶メーカーとアップルの提携解消か

Image:T. Schneider/Shutterstock.com

iPhone SE(第3世代)は、液晶ディスプレイを搭載したアップル唯一の現行モデルだ。次の第4世代、通称「iPhone SE 4」はついに有機ELに移行することが有力視されているが、それに伴い日本の液晶パネル製造メーカーも切り捨てられると報じられている。

日経新聞の英字メディアNikkei Asiaによると、日本のパネル製造企業であるジャパンディスプレイ(JDI)とシャープの2社がiPhone関連のサプライチェーンから除外されるという。

かつては両社の合計でiPhone向けディスプレイ市場で70%のシェアを占めていたが、液晶から有機ELへの移行にあたり、アップルとの提携が解消されるとのこと。後釜となるのは韓国(LGディスプレイ)と中国(BOE)の有機ELパネルサプライヤーだと伝えられている。

現行iPhone向け有機ELパネルのうち、サムスンディスプレイが約半分、LGが約30%、BOEが約20%を供給しているという。JDIもシャープもスマートフォン向け有機ELディスプレイを量産していないため、iPhone向け液晶パネルの供給は第3世代SEの廃止で終了する見込みとのことだ。

アップルは2017年に「iPhone X」に有機ELを採用したものの、2019年までは最上級モデルに限られていた。その後、2020年に「iPhone 12」全モデルに有機ELを搭載し、iPadも今年の「M4 iPad Pro」を皮切りにminiやAirも有機ELへの切り替えが進むとみられている。

iPhone SE 4の製品像については、おおむね固まってきている。デザインは「iPhone 14」をベースとして(第2~3世代は「iPhone 8」ベース)ノッチ付きの6.1インチ画面とFace IDを搭載し、LightningポートからUSB-Cポートに移行。さらに次期「iPhone 16」と同じ「A18」チップやRAM 8GBを搭載してApple Intelligenceに対応し、2025年春に発売といったところだ

2015年にはJDIとシャープがiPhone向けに年間2億枚近い液晶パネルを供給していたという。それが2023年には2000万枚程度に落ち込んでいたとのことで、突然の打ち切りというよりは終わりが見えていたのだろう。

JDIは車載用液晶ディスプレイ事業戦略の見直しに注力している一方、シャープはテレビ向けを中心に展開していた液晶ディスプレイ事業を縮小していると伝えられている。

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