8月に投票が行われます

Adobe、MS、OpenAI、「AI生成コンテンツへの透かし」義務付けるカリフォルニア州法案を支持

Image:Bezruk/Shutterstock.com

Adobe、マイクロソフト、OpenAIは、AI生成コンテンツにその旨を示すラベルをつけることを義務化するカリフォルニア州法案に対する支持を明らかにしている。この法案は8月中に採決が行われる予定となっている。

「AB 3211」と呼ばれるこの法案は、AI生成による静止画、動画、音声クリップのメタデータ内に透かしとなる情報を入れることをAI開発企業に義務付けるものとなっている。さらにFacebookやInstagram、X(Twitter)など、大規模SNSプラットフォームには、一般的なユーザーがAI生成コンテンツの見分けができるようわかりやすくラベル表示することも義務づける。

ユーザーの多くはメタデータをわざわざ参照することはないため、すでに生成AI開発企業のいくつかはこれを実施しているが、気づいている人はほとんどいないだろう。Instagramでは6~7月ごろ、多数のフォトグラファーが自分の作品を投稿した際に、システムによって自動的に「AIで生成」とラベルづけされてしまったと、苦情を述べる問題が持ち上がった。

これは、AdobeのPhotoshopが搭載するAI使用機能「生成塗りつぶし」を使って、写真に写り込んだ不要なチリなどを取り除く、軽微な修正をしたせいだった。Photoshopは「スポット修復ブラシ」や「コンテンツに応じた塗りつぶし」「コピースタンプ」ではAIを使用していないが「生成塗りつぶし」を使用した場合はAIを使用しているためにメタデータにそのことを記すようになっていた。Instagramはそれを自動的に拾ったようだ。

このメタデータに関しては、コンテンツ来歴および信頼性のための標準化団体であるC2PA(Coalition for Content Provenance and Authenticity)が作成に貢献している。そのため今回、法案を支持した3社にAdobeが含まれていることは不思議ではない。

なお4月の段階で、C2PAはAB 3211に反対していた。だが、その後C2PAの意見を取り入れた法案の修正が行われたことで、この業界団体は支持にまわったようだ。

そしてイーロン・マスク氏も、自身が所有する企業をカリフォルニア州からテキサス州へ移転する考えを表明しているにもかかわらず、カリフォルニア州の別のAI法案である「SB 1047」を支持する意見をXに投稿した。

SB 1047は、大規模なAIモデルのメーカーに対し、そのモデルが重大な危害を及ぼすことに対する安全策を作成し、文書化することを義務付けるというもので、OpenAIはこれには反対の意向を示している。

マスク氏は、SB 3211を支持する理由について難しい判断だとしつつも「あらゆる事を考慮すると、カリフォルニア州はAIの安全性を規定するSB 1047法案を可決すべきだと思う」とし「私は20年以上にわたって、潜在的リスクのあるあらゆる製品や技術と同様に、AIにも規制をすることを提唱してきた」と述べている。

ちなみに、マスク氏が創設メンバーに加わり資金提供をした当初のOpenAIは、その目的を「AIの安全性と社会的影響を研究する」ためとしていた。しかし3年後にはOpenAIからマスク氏が離脱し、その翌年にはマイクロソフトが多額の出資をして協力関係を構築、ChatGPTのリリースを経て、現在のOpenAIは商業路線を強く打ち出すようになっている。

マスク氏は昨年7月に自身のAI企業となるxAIを設立している。またOpenAIからは商業化を進める方向性に反発した一部のメンバーが離脱し、2021年にAnthropicを立ち上げている。最近もOpenAI共同創業者のひとりなどがAnthropicへ移ることを明らかにしたばかりだ。AnthropicのAIチャットボット「Claude」は、一部の分野でChatGPTを凌ぐとも言われ、注目度が増してきている。

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