飛行士は来年2月、SpaceXの宇宙船に相乗り帰還

ボーイングの「スターライナー」宇宙船、乗員残し無人でISSから帰還へ

Image:NASA

6月初旬に初の有人試験飛行を実施し、現在はISSに停泊しているボーイングCST-100 Starliner宇宙船は、搭乗していた飛行士を国際宇宙ステーション(ISS)に残し、無人で帰還することになった。

度重なる開発の遅れや不具合を経て、ようやく初めての有人試験飛行を実行に移したStarlinerだったが、ISSとのドッキングこそ成功したものの、アプローチの段階で28基ある姿勢制御(RCS)スラスターのうち5つに不具合が発生。さらに打ち上げ以前から発生していたヘリウムガスの漏れも、ISSへのドッキング後に、新たに4か所で発生していることが判明していた。

そのためNASAは約1週間の滞在でISSから地上に戻る予定だったStarlinerの安全性評価に時間をかけることとなり、打ち上げから2か月以上が経過した現在もまだ飛行士らはISSを離れることができずにいる。

その間、ボーイングはStarlinerに飛行士を搭乗させて帰還させることに関して自信を持っていると発言していたが、NASAは先週土曜日、Starlinerおよびその乗組員の帰還方法を決定するための協議を行った結果「スラスター内で起こっている物理的な問題に対する理解には、まだ不確実性が残っている」として、Starlinerの帰還は無人で行うという結論に至ったと述べた。

この決定により、StarlinerはISSにブッチ・ウィルモア飛行士およびスニータ・ウィリアムズ飛行士を残して9月初旬にISSを離れ、地上に帰還することになる。また両飛行士は、9月末にISSに向けて打ち上げられるSpaceXのCrew Dragon宇宙船で帰還する。

Image:NASA

NASAのビル・ネルソン長官は、過去に起こった2度のスペースシャトルの事故に触れ「宇宙飛行は、最も安全で最も日常的に行われるときであっても危険を伴うものだ。そして試験飛行は本来、安全でも日常的でもない。ブッチとスニをISSに残し、ボーイングのStarlinerを無人のまま帰還させるという決定は、安全に対するわれわれのコミットメントの結果である。安全はわれわれにとって中心的な価値観であり、われわれが目指すべきところなのだ」と述べた。

なお、Starlinerの乗組員を迎えに行く役割を担うことになったSpaceXのCrew Dragon(Crew-9)は9月末に打ち上げられるが、当初4人の飛行士が搭乗する予定だったところを、(Starlinerの2人に席を譲るため)2人に変更してISSへ向かうことになる。そして、帰還予定は2025年2月にスケジュールされている。

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