開発費の高騰や市場の飽和が懸念
ゲーム開発者の約9割が「AAAタイトルに課金要素は必要ない」と回答
スマートフォン用のゲームアプリから始まった課金要素(microtransactions)は、今では家庭用やPCゲームでも頻度が増している。たとえばユービーアイソフトが発売予定の『スター・ウォーズ 無法者たち』はフルプライスかつ1人プレイ専用ゲームだが、人気キャラのジャバ・ザ・ハットが登場するミッションがシーズンパスなしにプレイできないと判明し、ユーザーの反発を招いていた。
今月開催のゲーム開発者会議Devcom 2024でアンケートを取ったところ、開発者の約90%が「AAAタイトル(超大作ゲーム)には課金要素は必要ない」と考えていると回答した。
実に89%もの開発者が、AAAゲームは純粋にBuy-to-Play、つまり一度だけ代金を支払えば全てのゲーム内容が遊べる買い切りモデルで財政的に成功できると考えているという。さらに81%が、マルチプレイヤーゲームの将来にはクロスプラットフォーム(PS5やNintendo Switchなどハードの垣根を越えて共にプレイできる)が不可欠だと答えている。
今回の調査結果は、いろいろと興味深い。まずAAAソフトの物理的なパッケージは圧倒的に好まれており、回答者の65%が支持している。ダウンロード版の売上比率が着実に増えているが、クリエイターらには「形として残る」パッケージに愛着があるようだ。
対照的に、広告付きの無料プレイを支持する開発者はたったの1人だという。基本プレイ無料の家庭用ゲームも珍しくはなくなっているが、それらはアイテム課金なり月額課金方式であり、広告付きが好ましいと考える人がいただけでも驚きではある。
ほか注目すべきは、AI関連の調査だろう。実に31%が最小限のAI活用を望み、コーディングや制作へのAI活用は21%、マーケティングやコミュニケーションでの使用は18%が支持。さらには今後12~24か月以内に、AIが人間による翻訳/ローカライズに取って代わるとの予想も浮上している。
ゲーム業界が直面する最大の課題については、55%が市場の飽和だと考え、46%が開発コストだと答えている。どちらも重大な課題であり、たとえばソウルライク(『DARK SOULS』のような死亡を繰り返しながら進めるゲーム)というジャンルは爆発的に広がり、今やかつてないほど本数が増えている。またランサムウェア関連事件から、大作ゲーム1本の開発費が1億ドル以上に膨れ上がっていることも明らかになっていた。
最後にゲーム業界における解雇については、回答者の57%が今後12か月間は現在と同じかそれ以上のペースで続くと予想している。開発費の高騰や生成AIの導入など、様々な事情が絡み合い、ゲーム開発者の生活に多大な影響を及ぼしているようだ。
- Source: VentureBeat
- via: Wccftech