従わなければ法定代理人に逮捕状

X、ブラジルでの事業を終了すると発表。選挙の偽情報や憎悪投稿に関し最高裁から「脅迫」

Image:Larry Zhou/Shutterstock.com

X(Twitter)は、ブラジル国内での事業を終了すると発表した。この発表は、大統領選挙に関する偽情報と、極右の元大統領ジャイール・ボルソナーロ氏の政権下でフェイクニュースや憎悪メッセージを拡散したとされる、いわゆる「デジタル民兵」の捜査の一環として、特定のXアカウントをブロックするよう命じたブラジル最高裁判所のアレクサンドル・デ・モラエス判事との法廷闘争に関連する動きだ。

XのGlobal Government Affairs(国際政務部門)の投稿によると、同社はデ・モラエスが 「命令に従わなければ、ブラジルの我々の法的代理人を逮捕すると脅迫した 」と述べた。

Xは今年4月、デ・モラエス判事から、ボルソナロ政権下でフェイクニュースや憎悪メッセージを拡散した「デジタル民兵」捜査の一環で特定のXアカウントを停止するよう命じられた。その際デ・モラエス氏が、「指示に従わなければ、Xの法定代理人に対し罰金と逮捕令状が科される」と秘密裏に警告したと主張している。

そして、Xは命令に従うのではなく「従業員の安全を守るため、ブラジルでの事業を即時閉鎖することを決定した」と述べている。ただユーザーに対しては、事業を閉鎖してもブラジルでXが使えなくなるということではなく、引き続きXにアクセスしサービスを利用できると説明した。

Xのオーナーであるイーロン・マスク氏は、デ・モラエス氏の要求は「ブラジル、アルゼンチン、アメリカ、そして国際法を(秘密裏に)破ることを求めるものだ」と述べ、「ブラジルのXの事業所を閉鎖するという決断は難しいものだったが、もし我々がデ・モラエス氏からの違法な秘密検閲と個人情報引き渡しの要求に同意すれば、このように自分たちの行動を明らかにすることはできなかった」と述べた

Xも「デ・モラエス氏は法律や正当な手続きを尊重するのではなく、ブラジルの私たちのスタッフを脅すことを選択した」「デ・モラエス氏の行動は民主的な政治とは相容れない。ブラジル国民は、民主主義か、アレクサンドル・デ・モラエス氏かの選択を迫られているのだ」との声明を発表した。

ちなみに、ジャイール・ボルソナーロ氏は2022年の大統領選挙で敗れたときに、投票において不正があったと主張して大統領の立場の引き渡しを一時拒否し、支持者らによる暴動まで発生した。ブラジルの高等選挙裁判所は、選挙を弱体化させようとしたとしてボルソナーロ氏に対し8年間の被選挙権停止処分を下している。

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