Spotifyには許されなかったこと
アップル、WeChatとTikTokにApp Store手数料を回避する抜け道を塞ぐよう圧力か
アップルが中国企業のテンセント・ホールディングスとByteDanceに対し、両社のアプリがApp Storeの手数料を回避する「抜け穴」を塞ぐよう迫っていると米Bloombergが報じている。
このうちテンセントは、同社のスーパーアプリWeChatで「人気のミニゲームから得られる収益の分配につき、アップルと協議中」という形で間接的に認めた。つまり、これまではアプリ内購入につきアップルと収益を分け合っていなかったわけだ。
テンセントはアップルとの協議につき、「経済的に持続可能」で「公平」な条件を求めていると述べている。
現状では、テンセントはWeChat上で利用できるミニアプリやゲームにApp Storeのアプリ内購入システムを使っていない。代わりにクリエイターらは「抜け道を使ってユーザーを外部の決済システムに誘導している」と伝えられている。これにより、アップルが課す最大30%の手数料を回避しているわけだ。
これに先立ち、アップルが両社にアプリを抜本的に変更するよう圧力を強めているとの報道があった。テンセントに対しては、ミニゲームの開発者がアップルのプラットフォーム以外での支払いに使うリンクを削除しない限り、WeChatのアップデートを拒否する可能性があると警告。ByteDanceに対しても、TikTokの中国版であるDouyinの更新を受け入れないと伝えたという。
テンセントの抜け道は、アプリ内のメッセージサービスを中心に展開されているという。アップルはメッセージ機能を無効にするよう要請したが、テンセントは応じていないとのことだ。
アプリ内に外部決済へのリンクを張ることは、App Storeガイドラインで禁止されている。SpotifyアプリもようやくEUユーザー向けに限りアプリ内での価格表示が許可されたが、いまだにリンクは設けていない。
今週、テンセントのジェームズ・ミッチェル最高戦略責任者(CSO)は決算会見で、iOSの決済システムを通じてアプリ内課金を提供する方法を模索していると述べた。が、上記のように「経済的に持続可能」などの条件を付けた上で、協議が進展しない場合は「現状が継続することになる」とも語っている。
アップルとテンセントとも、互いに譲れない事情があるようだ。前者は6月期の中華圏売上高が前年同期比で6.5%減と報告しており、テンセントもクラウドサービス等の部門が苦戦するなかでミニゲームの総収入が第2四半期に30%以上も増加している。今後の展開を見守りたいところだ。