ゲームでAI開発に貢献
Activision『Call of Duty:Warzone』のプレイデータをオープンソースとして提供。AIモデルの強化用に
ゲームパブリッシャーのActivisionは同社の人気ゲーム『Call of Duty:Warzone』一部プレイデータを、3Dコンテンツ作成用データセット「OpenUSD」形式で公開した。公開されたデータにはCaldera(カルデラ)と呼ばれるマップのジオメトリーと、そのマップを使用したゲームプレイでプレイヤーがどのように行動したかを示すパス情報がタイムサンプルとともに含まれている。
ジオメトリデータの量は約4GB。500万以上のメッシュ、2800万のプリミティブ、10億以上のポイントインスタンスで構成されており、照明処理に使用するボリュームなどのシーンメタデータも公開されたデータで表すことができるという。
ゲーム内のキャラクターのパス情報や、プレイヤーがマップ上でどのように行動するかを示すタイムサンプルからは、ゲーム中にプレイヤーが移動した経路を示している。Activisionではこれらを具体的に視覚化したものを用意していないが、データには簡単にアクセスできるため、利用者側で自由に視覚化できるとのことだ。
Activisionシニアバイスプレジデントでソフトウェアエンジニアでもあるマイケル・ヴァンス氏は、この公開したデータについて「ジオメトリの複雑さとインスタンス数の点において、ゲーム業界からリリースされた実用化検証済みのオープンデータセット中で最大規模のもの」だと述べている。
さらにこのマップを選んだ理由として「現在の設計哲学の規模と複雑さを最もよく表すマップを選択した」と述べている。
Activisionのナタリア・タタルチュクCTOによると、同社はこのデータセットがAIトレーニングやコンテンツ生成技術の発展のための「優れたデータ」を提供するものになると考えているとのことだ。そして「Activisionは、ビデオゲームの開発をさらに進め、ゲームコミュニティの発展に貢献するために、テクノロジーとAIの分野で継続的に革新的であることに取り組んでいく」とした。
最近のAIブームのなかで、ビデオゲーム業界も他の多くの業界と同様に、生成AIを開発に活用する方法を模索している。現場でゲームを開発する従業員のなかには、仕事をAIに奪われるとの懸念を抱く者もいるようだが、タタルチュク氏は、今回のデータ公開は、過去数十年にわたって業界に多大な利益をもたらしてきた研究コミュニティへの恩返しの意味合いも含むとし、「AI技術での責任あるイノベーションは、将来的にプレイヤーにとってより豊かなゲーム体験を生み出す格好で、ビデオゲーム業界全体の開発促進に役立つ」と述べた。
Activisionが公開したCalderaデータは、GitHubからダウンロードできる。
- Source: GitHub Activision
- via: The Verge